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2016年12月21日
「伊達いわな」の歩み
「伊達いわな」の歩み
イワナが生息するのは、清らかな水を湛えた源流地帯。淡水魚の中で最も上流に潜み、その姿が人の目に映ることは滅多にありません。そんな幻の魚の養殖に、日本で初めて成功したのが宮城県です。
イワナ養殖の発祥地は、宮城県栗原市。今も同地で養殖を受け継ぐのが、『数又養魚場』の二代目・数又貞男さんです。「先代の父がイワナ養殖に成功したのは、昭和46年。当時は夢の中にもイワナが現れるほど、イワナのことばかり考えていたようです」と、数又さんは微笑みます。イワナは警戒心が強いため、養殖は不可能と言われた時代。その困難に立ち向かう情熱と豊かな自然があってこそ、日本初のイワナ養殖は成し遂げられました。

 

発祥地
栗原市耕英地区『数又養魚場』には、発祥地を伝える碑も立つ

 

「伊達いわな」
「伊達いわな」と名乗ることができるのは800g以上に成長したものだけ

 

こうして宮城のイワナ養殖技術は確立され、現在は大和町などでも養殖が行われています。宮城県ではその基盤を生かし、養殖イワナの地域ブランド化を推進。宮城県水産技術総合センター内水面水産試験場では平成7年から、宮城県固有の原種イワナを使った全雌三倍体イワナの開発に取り組みました。全雌三倍体イワナとは、通常のイワナが持つ2組の染色体を3組に増やす不妊化技術を施したもの。卵を持たないため産卵期の成長停滞や身質低下が起こらず、2~3年で体長50㎝・体重1㎏ほどの大型に育ちます。肉質も周年変わらないので、四季を通じて高品質かつ安定的な供給が可能です。

 

イワナの卵、数又貞男さん、菅原哲さん
菅原養魚場
上左:宮城県内水面水産試験場が保有する原種イワナから卵を取り出し、三倍体を生産。その稚魚を伊達いわな振興協議会会員の養魚場に提供
上中央:『数又養魚場』の数又貞男さん
上右:黒川郡大和町『菅原養魚場』の菅原哲さん
下:山懐に抱かれた『菅原養魚場』。豊かな天然水なくして、伊達いわなは育たない
イワナの卵
宮城県内水面水産試験場が保有する原種イワナから卵を取り出し、三倍体を生産。その稚魚を伊達いわな振興協議会会員の養魚場に提供
数又貞男さん
『数又養魚場』の数又貞男さん
菅原哲さん
黒川郡大和町『菅原養魚場』の菅原哲さん
菅原養魚場
山懐に抱かれた『菅原養魚場』。豊かな天然水なくして、伊達いわなは育たない

 

この全雌三倍体イワナは、平成14年に水産庁が定める「三倍体魚等の水産生物の利用要領」に基づく三倍体魚等の特性評価等に適合していることの確認を受けました。その後、試験場と県内の養魚場が連携して量産体制を整え、平成25年、全雌三倍体イワナを「伊達いわな」と命名するとともに、「伊達いわな振興協議会」を設立し、平成26年に初出荷を迎えます。宮城県大和町で伊達いわなの生産・出荷に取り組む『菅原養魚場』の菅原 哲さんは、「伊達いわなは渓流魚のクセがなく、どちらかというとヒラメのような海の高級魚に近い味わい。活締めしてから1~2日経つと甘味やうま味が増し、よりおいしくなりますよ」と話します。刺身や寿司ネタとして高く評価されているだけでなく、和洋問わずに幅広い料理に使える伊達いわな。宮城の新たな特産品として、今後の発展が期待されています。

 

出荷イメージ
丁寧に選別・活締めして出荷

 

「伊達いわな重」
数又養魚場に隣接する『岩魚の館』で提供している「伊達いわな重」

 


「伊達いわな」の歩み
食材としての「伊達いわな」
 

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