せんだいタウン情報 マチコ

2024年03月07日
気仙沼から全国の食卓へ。100年続く「斉吉商店」の丁寧な手仕事。
体験!発見!三陸の海を知って味わい尽くす旅へ ~水産Open Factory~ 気仙沼編

体験!発見!三陸の海を知って味わい尽くす旅へ ~水産Open Factory~ 三陸・気仙沼編

体験!発見!三陸の海を知って味わい尽くす旅へ ~水産Open Factory~ 三陸・気仙沼編

子どもの頃に行った工場見学や社会科見学。働く人たちの姿や商品ができるまでの工程を現場で見たあのわくわく感を体験することができる「大人の工場見学 Open Factory」をご紹介します。

今回訪れたのは、三陸沖の主要な水揚げを誇る気仙沼漁港を持つ、宮城県気仙沼市です。仙台ふららん主催の「気仙沼の冬を楽しむツアー」工程の中から、工場見学を参加者のみなさんと一緒に体験してきました!

みなさんも今の三陸の海を知り、製造の現場を見て、その土地の食を味わう「大人の工場見学」の旅へでかけませんか?

 

株式会社斉吉商店の斉藤純夫社長と斉藤和枝専務ご夫妻

今回お話をお聞きしたのは、株式会社斉吉商店の斉藤純夫社長と斉藤和枝専務ご夫妻。創業大正10年の100年以上続く気仙沼の老舗企業です。
 

気仙沼の魚市場で働いていた頃の和枝専務

気仙沼の魚市場で働いていた頃の和枝専務。何百キロにも成長する重いマカジキを運んでいる姿が美しく勇ましい!

 

届けたいのは「美味しい食卓と豊かな暮らし」。

斉吉商店は、毎日食べるものが贅沢でなくても、安心安全であることを大切にしています。そのため、三陸・気仙沼の鮮度の良い素材の美味しさを活かすため、惣菜等の加工商品に化学調味料や保存料を使うことはありません。また、毎日食卓を囲む暮らしの豊かさから生まれる「食卓の力」を信じ、商品づくりをしています。

惣菜商品

 

看板商品「金のさんま」

斉吉商店の「金のさんま」は、これまで全国水産加工品総合品質審査会 大日本水産会会長賞の他、優れた加工品として多数表彰されています。

金のさんま
 

鮮度にこだわって選定した銀色の大ぶりのさんまを、甘辛の醤油たれで骨がやわらかくなるまでゆっくり圧力釜で炊いて完成まで3日間。長い時間をかけて継ぎ足している「返したれ」が絡んだ金色のさんまに仕上がります。
加熱と急速冷凍の加工技術を駆使した保存料を使わない無添加の加工品「金のさんま」は気仙沼の家庭料理そのもの。安心して食べることができる商品は消費者にとってとてもありがたい一品です。
 

熟練の社員さんが大きな鍋で丁寧に作っている
機械は使わず、熟練の社員さんが大きな鍋で丁寧に作っています。
 

照りを出すポイント
対流を起こして泡で包むように炊くことが照りを出すポイント。
 

「金のさんま」の完成
泡が細かくなってきたら、一晩おいて味を馴染ませ「金のさんま」の完成。

 

安全・安心を追求する。「HACCP(ハサップ)」とは

「HACCP(ハサップ)」とは、食品の安全を確保するための一定の基準を満たした衛生管理手法のことをいいます。斉吉商店は、気仙沼でいち早く「HACCP認定工場」の設備を構えた企業です。毎日大量の魚を扱う工場ですが、工場見学中に魚の臭いを感じることはありませんでした。専務は「掃除は美味しさを担保する」と話します。掃除は手作業だけでなく、泡が出る機械を使ってどんどん洗い流していくそうです。
 

作業風景
無駄なものが一切ない空間で作業する完全防備の社員さん

 

大切なのは「変化と不変」。その時代に順応する販売戦略

気仙沼に位置する斉吉商店は、東日本大震災で社屋や工場が流され、築き上げた多くのものを失いました。さらに、海洋環境や社会情勢など、多くの変化に対応することを余儀なくされました。

その経験を経た社長はこう話します。「斉吉商店は100年以上続いていますが、その環境に合わせて事業を切り替えて対応してきた企業です。私は『変化と不変』という言葉を大切にしています。変えてはいけないことと変わっていかなければどうにもならないこと、両方があるんです。その現実を受け止め、切り替えて対応していく力がとても重要だと思います」
 

東日本大震災後、瓦礫が撤去されたばかりの気仙沼の様子。
社員のひとりが震災後の「第一持ち出し(避難をする際に、まず最初に持ち出すもの)」を斉吉商品の看板商品である「金のさんま」の返したれにしていたこともあり、震災後も「金のさんま」は変わらぬ味を守り抜くことができました。専務は社員全員の命が助かったことが本当に良かったと話します。しかし、何より大切な社員の命の為、「第一持ち出し」を返したれにすることは禁止にしたそうです。斉吉商店の強い絆を感じます。
そして、働く場所を失った社員の為に工場を貸してくれた岩手県の企業や関東・関西の大型百貨店など、多くの支援に感謝を述べられていました。  


大切に保管展示されている震災後に隣町で見つかった旧社屋の看板の一部。
 

銀鮭のゆう庵漬け焼きほぐし

海洋環境の変化で、三陸沖で獲れる魚も年々変化して気仙沼港のさんまの漁獲量も減っています。しかし、変化に順応し続ける斉吉商店は新しい商品を生み出し「銀鮭のゆう庵漬け焼きほぐし」は第48回宮城県水産加工品品評会 水産庁長官賞を受賞しました。



 

さらに斉吉商店は、コロナをきっかけに対面販売を必要としない一般消費者向けの通販に力を入れました。現在は主力事業となる程の成長を遂げ、気仙沼から全国の食卓へ三陸・気仙沼の味を届けています。


[商品一例]冷凍でストックでき、15分で解凍してすぐに食べることができる「斉吉海鮮丼」
 


工場見学ツアー参加者と斉吉商店従業員のみなさんと記念撮影

最後に社長からの言葉。「気仙沼は取り組めていないことがたくさんあって、これから伸びる力のある土地だと思っています。自分たちの会社や地域にどんな良さがあるのかをもっと気づくことができると、やれることがどんどん見えてくるはず。まだまだやれることがあるというのは、とても楽しみですね」

 

【編集後記】機械を使った効率重視の商品製造が多い中、斉吉商店の丁寧な手仕事は印象的でした。「金のさんま」を製造している工場はまるで大きな台所のよう。家庭的でありながら、高級感のある味付け。そして一切れの身が大きく食べ応えもあります。みなさんもぜひ、歴史ある気仙沼の企業「斉吉商店」のこだわりの商品を味わってみてはいかがでしょう。

 

水産オープンファクトリー
斉吉商店 本社工場 [工場見学情報]

 所在地  宮城県気仙沼市潮見町2丁目100-1

 お問い合わせ先  info@saikichi-pro.jp

 

公式・ショッピングサイト

 
 

 

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