せんだいタウン情報 マチコ

2026年03月11日
【Special Report】15年目のゆずと東北。未来を紡ぐ“うた”が完成しました【machico防災部】


2011年3月11日から、15年。
震災直後から東北に足を運び、歌の力を届けてきたアーティスト・ゆずが、再び宮城と福島の地を訪れました。
東北を巡ったのは、未来へつなぐ“うた”を制作するため。15年という歳月を歩んできた町の人々の言葉を掬い上げ、葛藤の末に書き下ろされたのがNHK東日本大震災15年 震災伝承ソング「幾重」。この楽曲に込められた想いをmachico防災部が紹介します。

 

町の今と、人々の想いを知る旅

「’21あらまち子まもりハロウィン」01


今回のプロジェクトは、NHK仙台放送局が「発災から15年という節目に、震災の経験を未来へつなぐ楽曲を作ってほしい」とゆずへ依頼をしたことからスタート。楽曲の制作過程は、NHK仙台放送局制作のドキュメンタリー番組「ゆずとつくる 未来へつなぐうた」で放送されました。ゆずの2人は、曲作りのために、東北を訪れ、発災直後から変化した「今の風景」と「人々の本音」に向き合いました。
 

「’21あらまち子まもりハロウィン」01

「’21あらまち子まもりハロウィン」01


まず訪れたのは宮城県石巻市。石巻市役所学芸員・高橋広子さんの案内で、震災当時のまま、手を付けられずに残されている「石巻市震災遺構 門脇小学校」を巡りました。

校舎内には、火災で焼けたあともまた生えてきたイチョウの木と、自然との共生をテーマにした展示スペースがあります。
「時間は残酷にも美しく動いている――。」
と言葉を漏らすゆずの北川悠仁さん。当時のまま時が止まっているように見えるけれど、確かに生命が宿っている、そんな自然の大きな流れを実感されている様子でした。
 

「’21あらまち子まもりハロウィン」06


「石巻市震災遺構 大川小学校」では、大川伝承の会で語り部として活動をしている佐藤敏郎さんからお話を伺いました。

84人が犠牲となった大川小学校は度々「悲劇の場所」として取り上げられてきましたが、これからは「未来を拓く場所」にしたいと語る佐藤さん。
「無理に受け入れようとするのではなく、せめて丁寧に受け止めたい。」
14年経っても消えない津波の跡、そして佐藤さんの本音に、ゆずのお二人も涙を流しながら想いを受け止めます。
 

「’21あらまち子まもりハロウィン」01

「’21あらまち子まもりハロウィン」01


原発事故で町全体に避難指示が出された福島県浜通りにある双葉町では、ふたばプロジェクト・小泉良空さんが町を案内。

一部地域の避難指示が解除されてからは少しずつ活気が戻り、「町を作っていこう」「双葉町で挑戦してみよう」というひとも集まってきています。

秋田県から移住し、焙煎所兼ドリンクスタンドを開業した深澤諒さんもその一人。双葉町に遊びに来るうちに、「ここなら僕も挑戦できるかも」と一歩を踏み出したのだそう。ゆずの岩沢厚治さんも「始まっている感じがする」と確実に動き出している町の鼓動と向き合いました。
 

「’21あらまち子まもりハロウィン」01

「’21あらまち子まもりハロウィン」01


最後に訪れたのは、福島県浪江町。
2015年に郡山市で開催された復興イベントで郷土芸能を披露した当時、ゆずと共演していた横山和佳奈さんと10年ぶりに再会を果たしました。

横山さんの生まれ育った請戸地区は12年前に災害危険区域に指定され、再び住むことはできません。
今は黒松が植えられた請戸の風景を眺めながら「いざ戻れないとなると恋しい」と言葉を溢す横山さんに、ゆずのお二人も町を思い出すきっかけとなる、人と人をつなぐうたを作ることを誓います。
 

「’21あらまち子まもりハロウィン」01

 

15年という節目に、復興のうたではなく伝承のうたを

庄子康一さんと田辺泰宏校長先生


今回できあがったうたのタイトルは「幾重」

日々生活をしているなかで、表に見せている顔や役目。もう人に話すことはないかもしれない、あの日から幾重にも重なっている心模様。隠していても時々顔を出す。そして、その重なり方は人それぞれ。
そんな誰もが持つ深い複雑な地層のようなものと「幾重に過ゆく日々」が、このうたに込められました。

ドキュメンタリーでは、北川さんの葛藤の様子がひしひしと伝わってきます。

「会いたいってすごくありふれた言葉だけど、この会いたいには、幾重にも重なった会いたいの種類が込められた会いたいなんです。幾重に重なったどこの部分を聴いた方が受け取るか。
僕には想像ができるようで、できない。」

 

今回の楽曲制作には、映画「国宝」の音楽も担当された音楽家・原摩利彦さんも参加しています。北川さんの親しみやすいメロディーに原さんの繊細なアレンジが重なりました。

「インタールード(間奏)や一番最後のアウトロは、物語の新しいページをめくるような感じにした。
これまでのことと、今のこと。そしてこれからそれぞれの人たちがそれぞれの人生を送っていくだろう、というそれを語るようなアレンジです。」

 

「’21あらまち子まもりハロウィン」01


「明日という言葉がでてきて、しかも手を伸ばすということはまだ届いていないということですよね。
この15年間、なにかをつかもうとして探したけれどもつかめなかったり、まだまだだということの繰り返しだった気がします。
幾重だから、ドンとではなくても、何回も薄い弱い小さなものがささやかだけでも重なっていく。
立場は違うのに、ともに歩んでくれているのが伝わってきました。そういうことって可能なんだ……。」

と、「幾重」を聴いて想いを話す佐藤さん。

遠くに住む人へも届くような、そして言葉では表しきれなかった想いが、このうたには込められています。


 

震災・防災について一緒に考えてみませんか?

「’21あらまち子まもりハロウィン」01


「幾重」も収録されたゆずのニューアルバム「心音」が本日3月11日にリリースされました。ゆずと共に「生きること」に向き合い、見つめ直すことができるアルバムです。

NHK仙台放送局の特設サイトでも、ゆずが東北を訪ねた映像とともに「幾重」を聴くことができますよ。
【「幾重」フルコーラス版を公開】ゆずが制作 NHK東日本大震災15年 震災伝承ソング「幾重」 | NHK仙台

また、ゆずなど、東北に想いを寄せるアーティストが出演する音楽番組「TOHOKU HEART FES~東北から全国、そして世界へ!未来へつなぐ想い~」が3月13日(金)夜7時30分から、NHK総合(東北地方)で生放送。ゆずは、「幾重」を披露します。放送後、NHK ONEで見逃し配信が1週間あります。
TOHOKU HEART FES~東北から全国、そして世界へ!未来へつなぐ想い~ | NHK仙台

さらに、NHK仙台放送局の震災伝承プロジェクト「あの日、何をしていましたか?」では、東日本大震災にまつわるエピソードを募集しています。
【エピソード募集】あの日、何をしていましたか? | NHK仙台

 


 
~ machico防災部より ~

「春を知る音 川のせせらぎ とめどなく 涙 流れて残る 確かな光は まるで重ねた あなたの手の温もりのよう 幾重に過ぎゆく日々」

私が特に印象に残った歌詞の一節です。
あの日に見ていた景色はみんな違うはずなのに、あの日とこれから来る未来を想って、手を取り合い、感情を分かち合うことができる、そんな“うた”だと感じました。

「ゆずとつくる 未来へつなぐうた」のドキュメンタリー内では、宮城県出身であるサンドイッチマンのお二人からもコメントが寄せられました。
「幾重」を聴いたお二人の「恋のうたにも聴こえる」という感想に、「友人も家族もパートナーも、大切な人を想う気持ちはどれも等しく尊いものだ」ということを改めて思い出しました。

みなさんにも、大切な人、かけがえのない人がいるはずです。
「遠く離れたあの地の誰かが誰かを想うこと」を想像するだけではなく、自分も同じように「自分が自分の大切な人を想う」こと。これこそが手を取り合いつながる一歩です。

心の距離が離れてしまうのは、悲しく寂しい。
あなたも私も、遠くで起きていたこととして眺めてしまっていた15年間から、次の未来は、このうたが全国の人をつなぎ、距離を縮められるように。

引き続きmachicoも、つながる こころ つよくなる「machicoつながるプロジェクト」と、「machico防災部」の取り組みに力を入れていきます。

 


 

「machico防災部」の活動は、せんだいタウン情報machicoが
震災10年目を機にスタートさせた「つながるプロジェクト」の一環です。

つながる こころ つよくなる「machicoつながるプロジェクト」

 

曲を聴いた感想・記事の感想を教えて!

コメントを投稿してくれた方の中から抽選で、マチコイン100枚を5名様にプレゼント!

【応募締切】2026年4月12日(日)
【当選発表】メール送信をもって発表とかえさせていただきます。

GO TOP