みなさんは、お子さんの夜泣きや寝ぐずりに悩んだ経験はありませんか?
「抱っこじゃないと寝てくれない」「なかなかお昼寝しない日がある」「夜泣きがひどくて辛い…」など、子どもの‟ねんね”に関するお悩みは世の中のママ・パパたちの悩みの種の一つではないでしょうか。
そんなママ・パパたちの救世主ともいえる「乳幼児睡眠コンサルタント」を知っていますか?世界各国に拠点を持つ米国企業「IPHI」が認定する国際資格で、子どもたちの健やかな成長に必要な睡眠の方法をレクチャー・サポートしてくれる存在です。乳幼児睡眠コンサルタントは全国各地で活躍しているものの、一般的にはまだまだ知られていません。
そこで今回machico編集部は、宮城県内で初めて乳幼児睡眠コンサルタントとしての活動をスタートさせた林ゆうこさんを取材。名取市内で開催された林さんの‟ねんね講座”に参加してきました。お子さんの睡眠事情に悩む方はもちろん、お子さんがいない方も知っておいて損はない睡眠にまつわる大切なお話を聞いてきました。
林 ゆうこさん/プロフィール
広島県生まれ、宮城県在住。診療所に勤務後、医療系専門学校の専任教員を11年経験。38歳で第一子を出産し、子育て中の夜泣きや産後うつなどの経験から独学で乳幼児睡眠コンサルタントの資格を取得。現在は日本眠育協議会眠育アドバイザーの資格も持ち、全国のママからのオンライン相談を受け付けているほか、イベントや講座で講師を務めるなど精力的に活動中。
2024年5月末、名取市館腰公民館で「ほっとスマイル育児講座」が開催されました。参加したのは、名取市内在住の親子5組。生後半年~1歳前後のお子さんとそのママさんが集まりました。
講座は、林さんがなぜ乳幼児睡眠コンサルタントになったのかという話題から始まりました。
林さんは結婚を機に宮城県へ移住。知り合いが誰もいない環境の中、38歳で第一子を出産しました。お子さんは元気に産まれてきましたが、前置胎盤のため出産から10日後に子宮を全摘出。体調不良が長く続く中、相談する相手がいない不安、コロナ禍で周囲との交流もままならない状況から産後うつを発症してしまいます。
その時に林さんが特に悩んでいたのが、お子さんの夜泣き。すがる思いで、とある育児電話相談窓口に連絡をしました。そこで言われたのは「小学生になっても夜泣きをしている子どもはいないから、それまで我慢だね」という言葉。具体的なアドバイスは何ももらえませんでした。
この出来事から林さんは「赤ちゃんの睡眠のことを誰も教えてくれないのはなぜだろう」と疑問を持ちます。「沐浴や離乳食のことは教えてくれるのに、睡眠について学ぶ機会がないのはおかしい」。こうして林さんは、独学で乳幼児睡眠コンサルタントの資格を取得。自分と同じように悩むママ・パパたちに正しい知識を伝える活動をスタートしました。
林さんによると、赤ちゃんにとって睡眠が大切な理由は大きく2つあります。
①脳神経回路のメンテナンス時間
・日中、脳を使うことでできる不純物(アミロイドβ)を排出するシステムが睡眠時に働く(アミロイドβは脳内に蓄積されるとアルツハイマーの原因物質になると考えられています)
・睡眠中に記憶の定着と整理が行われる
②体内時計は2歳までに完成する
・朝になったら活動し、夜は眠るという生活リズム=体内時計は乳幼児期に身につくため、体内時計を整えるために睡眠が重要
この体内時計は、体温調節やホルモン分泌、自律神経の働き、心拍・血圧といった人間の生体リズムを調整する機能としてとても重要です。体内時計が乱れると「起きられない」「ボーっとする」「怒る」「癇癪をおこす」など、子どもの体調と情緒に大きな影響を及ぼします。また、体内時計が乱れている人は高血圧や脂肪肝、肥満、糖尿病、生殖障害などの疾患リスクが高まるとも言われています。
一度習得した体内時計は修正するのに長い時間がかかるそうなので、2歳までの間に生活習慣や体内時計を整えてあげることは、子どもの将来に関わるとても重要なことです。このことからも林さんは、夜泣き・ねんね改善はママ・パパが楽をするための対処療法ではなく、子どもの心身の健康を保つこととして捉えてほしいと語ります。
では、体内時計はどのように整えると良いのでしょうか。
①朝日を浴びる
1日は24時間ですが、体内時計は25時間で回っているため、朝日の光刺激により体内時計をリセット。お散歩は午前中がおすすめ
②起床時間を決める
生後4か月ごろから昼夜の区別がつくように。4か月以降から生活習慣をつくることを意識
③朝食を食べる
体内時計と並んで活躍するのが内蔵時計。朝食をとって内臓時計を動かし、生活習慣を整える
④活動時間を意識した生活
赤ちゃんはご機嫌に過ごせるタイムリミットが決まっています(新生児期は約40分、6~8か月なら約2時間~2時間30分/1歳半~3歳なら約6時間程度)。この活動時間を過ぎてしまうと寝ぐずりの原因に。個人差もあるため、日頃からお子さんがご機嫌で過ごせる時間をはかり、お昼寝のタイミングを決めるのがベター
お昼寝は夜の睡眠にも影響を及ぼします。お昼寝がなかったり質が悪かったりすると、ストレスホルモンであるコルチゾールが増殖。夜泣きや早朝起き・夜間覚醒などの睡眠トラブルの原因になります。活動時間を意識した生活を行いながら、月齢に合わせたお昼寝の回数や時間を調整することも大切です。
<お昼寝の回数と目安時間>
体内時計を整えると同時に、赤ちゃんの眠る力を引き出す「ねんねトレーニング(ねんトレ)」も大切になります。
赤ちゃんは眠りに落ちた時と起きた時(眠りが浅い時)の状態が違うことを不快に思い夜泣きすることが多いため、抱っこ寝や授乳寝落ちの癖がある赤ちゃんは「なんで抱っこ・おっぱいがないの!」と感じ、夜泣きすることが多いんだとか。そのため、眠りに落ちる瞬間はママやパパが介入せず、自分で眠れるようにトレーニングすることが重要です。
そこで、まずは緩いねんトレ方法として林さんが挙げた例がこちら。
●抱っこでしか寝ないお子さんの場合
完全に寝てから布団に置くのではなく、寝る直前に置く。泣いたらまた抱っこしてあげて、寝る直前に置くことを繰り返す
●授乳でしか寝ないお子さんの場合
寝る前の授乳やミルクはリビングなどの生活スペースで行い、そのあと寝室に移動して寝かしつける(夜中の授乳は寝室で行ってもOK)
●赤ちゃんの体をトントンしないと寝ないお子さんの場合
赤ちゃんの心拍数ぐらいの早いリズムでトントンし、眠りそうになったらリズムをゆっくりにしていき、少しずつ手を放すまたは寝具をたたく
赤ちゃんが夜泣きしてしまった場合の対処法として林さんがおすすめするのは、「泣いてもすぐに抱っこしない」ということ。赤ちゃんは「寝言泣き」をするケースがとても多く、眠りながら泣いていることもあるそうです。そんな時にすぐに抱っこしてしまうと、赤ちゃんを起こしてしまうことに。
明らかに授乳やおむつ交換のタイミングでない時は、2~3分程度我慢してなぜ泣いているのかを見守ってみましょう。そうして観察していくと、お子さんの眠いサインやタイミングがわかってくるようになるだけでなく、赤ちゃん自身も自分の機嫌の取り方を学んでいくと言います。
講座に参加したママさんたちも、毎日試行錯誤しながらお子さんの睡眠に向き合っている様子でした。林さんの講座を通じて赤ちゃんの睡眠にとって大切なポイントを学ぶことができましたが、子育ては思い通りにはいかないもの。ねんトレや夜泣きの対処法を実践しようとしても、うまくいかないこともあるはずです。
そんな時は、乳幼児睡眠コンサルタントや周りの力を借りて、一人で悩まずに対処していきましょう。林さんに直接相談してみたいという方は、無料の30分オンライン診断も行っているそうです。ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。お問い合わせやご相談は、林さんのInstagram(DM)か公式LINEに問い合わせください。
この企画は、「#Relifeプロジェクト」&「子育てmachico」のひとつです。
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