せんだいタウン情報 マチコ

2024年01月29日
「食」から始める、もしもの備え。防災レシピを学んでみた&つくってみた!machico防災部

machico防災部 #13 サバイバルキャンプで楽しく防災術を身につけよう!

machico防災部 #13 サバイバルキャンプで楽しく防災術を身につけよう!

「備えよつねに。」を合言葉に防災力アップを目指すmachico防災部。今回のテーマは災害時の「食」についてです。ライフラインが使えず、お店や物流も機能しないことが多い災害発生直後。食べ物を確保することは、最も大事な行動のひとつかもしれません。

そんな「もしも」に備え、日頃からどんな準備をしたらいいのか、そしていざ災害が起きたらどうすればいいのか、実践形式のワークショップで学んでみました。

 

防災ワークショップ

 


この企画は、「災害文化」の創造・発信を目指す仙台市との共同事業です。

「災害文化」とは、災害は発生するという認識のもと災害に備え、乗り越える様々な知恵やスキルの総称。いつどこで起こるかわからない自然災害から生き延びるためには、日頃から災害時のリスクを想定し、命を守るための意識や行動を身に付けておく必要があります。仙台市では、この「災害文化」を市民の皆さんと一緒に深め、広く発信する取り組みが始まっています。

>>詳細はこちら


 

今回教えてくれたのは…

にしき食品

にしき食品

にしき食品 添野さん  菅野さん
にしき食品は、岩沼市に本社と工場があるレトルト食品専門メーカーです。カレー、スープ、パスタソース等を製造しています。自社ブランドである「ニシキヤキッチン」では、“世界の料理を「カンタン」に。”というコンセプトのもと約120種類のレトルト食品を展開。県内には仙台パルコ店をはじめ4店舗、東京にも2店舗を出店するなど、人気のレトルト食品ブランドとなっています。

 

宮城学院女子大学Food and Smile!

宮城学院女子大学 Food and Smile!
管理栄養士を目指す食品栄養学科の学生で構成された団体で、「食を通じて人々を笑顔に」をモットーに掲げて活動しています。子どもの栄養についての活動から始まり、災害時に使えるレシピが載った「防災レシピカレンダー」の作成や、地域のイベントに参加しての広報活動など、栄養学を学ぶ学生ならではの視点で情報発信しています。

 

レトルト食品で防災を「おいしく」「カンタン」に!

にしき食品は、東日本大震災当時も岩沼市に拠点を置き、震災時に津波被害を受けた被災企業でもあります。そんな経験から、自社の商品であるレトルト食品を中心に防災の考えを広める活動を行なっています。

「レトルト食品は常温で保存ができて、日持ちもするので、災害時に備えて非常食を備蓄していく“ローリングストック”にもぴったりです」と教えてくれたのは、にしき食品の添野さんと菅野さん。そもそもレトルト食品とは、レトルトパウチに食材を入れて、レトルト殺菌機という機械で高い圧力をかけて100度以上で加熱し、加圧加熱殺菌した食品のこと。この際、同時に食材も煮込まれます。

 

にしき食品さんによる講話

「レトルト食品は保存料がたくさん入っているから長期保存ができると思われる方もいますが、法律で保存料を使用してはいけないと定められています。レトルトという技術が長期保存を可能にしているんです。」と添野さん。日頃の食事にも美味しく、安心安全で手軽な上に、非常時の備えにもなるなんて!ぜひ、備えておきたい防災食です。

 

やってみよう!ローリングストック

にしき食品がおすすめする「ローリングストック」は、普段の食品を少し多めに買い置きし、賞味期限が近いものから消費。消費した分だけ買い足して、常に食料を備蓄しておくという考え方です。

ローリングストックをすることによって3つのメリットがあります。

①非常食を定期的に入れ替えるので、賞味期限の管理がしやすい。

②日常的に入れ替えるので、極端に賞味期限の長いものを選ぶ必要がなく、災害時の食料品の選択肢が増える。

③日頃からストックしているものを食べていると、災害時にも食べ慣れたものを口にすることになるので、心を落ち着かせることができる。

 

にしき食品さんによる講話

また、ローリングストックに適した食品として3つのポイントを教えていただきました。

①常温で保存できる。

②調理せずに食べられる。

③一定期間にわたり保存ができる。

レトルト食品は常温で保存が可能で、一般的に賞味期限が長いものが多いです。基本的には温めて食べてもらうようにできていますが、災害時などどうしても温められない時は、そのまま食べることができます。

 

にしき食品さんによる講話

にしき食品の商品の中で、温めなくても比較的食べやすい商品は、「ラタトゥイユカレー」「野菜ゴロゴロカレー」「こどもカレー」の3つ。温度が低いとカレーソースの中の油分が固まったり、お肉が固くなってしまったりします。そこで、野菜がたくさん入った商品がおすすめとのこと。

実際にワークショップ参加者の皆さんにも温めない状態で食べてもらうと、「電気・水道・ガスが止まった時でも、こんなにおいしく食べられたらほっとする」との声が聞かれました。
 

実践!レトルトカレーとビニール袋で炊くごはん

続いて、宮城学院女子大学の防災食研究グループ「Food and Smile!」のみなさんを講師にお迎えして、防災食づくりに挑戦しました。

 

にしき食品さんによる講話

会場は、ガス台のある調理室でしたが、あえてカセットコンロを使って調理してみました。ライフラインが止まった時に慌てないよう、日頃から使い慣れておくことも、災害に強い暮らしにつながります。そんなカセットコンロを使用して、今回挑戦したのはビニール袋クッキング。
こちらの記事でもビニール袋を使ったカレー作りを紹介しています。

 

ビニール袋クッキング

はじめに、ビニール袋にお米と水を入れ、しばらく置いて浸水させます。分量は、米90gに対して水150ml(無洗米の場合スプーン2杯ぐらい多めに水を入れます)。お米が白っぽくなったら浸水完了の合図です。それを、沸騰したお湯を張った鍋の中に入れて15分程度加熱します。

この時、ポイントは3つあります。

①袋に空気が入らないように、よく絞ってから袋の口を結ぶ。

②袋が鍋肌や鍋底につくと破れてしまうので、鍋底には耐熱の皿を敷き、鍋の中心に入れる。

③お米がしっかり水を吸ったらお湯から取り出し、状態をみながら15分ほど蒸らす。

 

ビニール袋クッキング

またこの時、同じ鍋のお湯を利用してレトルトカレーを温めます。レトルトカレーの湯煎時間はパッケージ等の記載に従ってください。

ちなみに、にしき食品に聞いた、災害時にレトルト食品を温める際のポイントは2つ!

①パウチに折り目をつけてからお湯の中に入れる。
切り口のところを強めに折ってから湯煎することで、災害時、はさみなどがない時でも手で切りやすくなります。調理後だと火傷をする危険があるので、必ず鍋に入れる前に折ってください。

②湯煎後にパウチをシャカシャカ振る。
こうすることでお肉や野菜、油が均等に混ざり、より美味しく食べることができます。さらに、お皿に出す時に袋を縦に二つ折りにして絞ると、ソースを最後まで出し切ることができます。
※やけどには十分ご注意ください。
 

レトルト食品

こうしてお米とレトルトカレーを温めている間、ビニール袋ひとつで作れる「さっぱりカムカム切り干し大根サラダ」にも挑戦しました。

 

洗い物が少ない!ビニール袋でサラダ作り

作り方はとてもシンプルです。ビニール袋の中に以下の材料を入れて、よく揉み込むだけ。

〇材料(2人分)

切り干し大根(乾燥した状態のまま)15g
キュウリ1/4個
ニンジン1/2個
ツナ缶(水煮)1缶

調味料
めんつゆ 大さじ1
マヨネーズ 大さじ1

ポリ袋クッキング

切り干し大根は食材の水気を吸うため、水戻しをせず、キッチンバサミで食べやすいサイズに刻んでおきます。また、キュウリやニンジンもスライサーで切ることで、包丁・まな板などの洗い物を少なくします。
揉み込む際は、袋の口を持ってこぼれないようにしながら、もう片方の手で揉みます。お子さまでも簡単に調理することができます。

 

ポリ袋クッキング

こうして、ビニール袋だけで、カレーライスとサラダを調理することができました。最後に、洗い物を減らすため、お皿にラップをしてから、その上に盛り付けていきます。これで、災害時に役に立つ、防災食が完成しました!
 

ラップ

 

食べるは毎日の繰り返し。「食」で安らぎを確保しよう。

出来上がったカレーライスとサラダを味わうワークショップの参加者のみなさん。美味しくできた様子で、笑顔が溢れます。

試食

「実際にあの時震災を経験しました。その時、食べ物は基本だし、重要なことだと思ったんです」と、今回参加した理由を話してくれました。「こういうご飯の炊き方は初めて知りました」というお子さんの参加者も。もしもの時に、日頃から経験と知識を蓄えておくことで、慌てずに行動することができます。

東日本大震災の際、「食べ物を食べたら心が落ち着いた」という声も多く聞かれました。ただでさえ不安な時間を過ごす中、毎日繰り返していた食事に不便なことがあれば、一層、心は不安定になってしまいます。

今回学んだような、日頃の備えや蓄えがあれば「食」を通じて、安らぎとエネルギーを確保できるはず!ぜひ、みなさんも実践し、そして防災についての知識や関心を広めてみてください。
 

試食

今回の体験の様子は、仙台市の特設サイトやYouTubeチャンネル「せんだいTube」でも公開しています。合わせてチェックしてくださいね。

 

「machico防災部」の活動は、せんだいタウン情報machicoが
震災10年目を機にスタートさせた「つながるプロジェクト」の一環です。

つながる こころ つよくなる「machicoつながるプロジェクト」

食に対して、災害時のために普段から備えていることや意識していることを教えて。 記事の感想もお待ちしています。

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