せんだいタウン情報 マチコ

2022年05月20日
遊びながら学べる施設「KIBOTCHA」の「防災キャンプ」に参加してみよう。machico防災部

machico防災部#9

machico防災部#9

 

命を守る知恵とスキルが楽しく身に付く

今回のmachico防災部は、東日本大震災後に旧野蒜小学校を改装して誕生した防災体験型宿泊施設「KIBOTCHA(キボッチャ)」で行われている「防災キャンプ」に参加してきました!
防災キャンプとは、地震や台風などの自然災害はもちろん、事件・事故などあらゆる危険から身を守り、生き抜く術を楽しく学べるアクティビティです。KIBOTCHAでは、自衛隊OBが監修した本格的なプログラムを体験することができます。子どもから大人まで誰でも参加でき、希望の所要時間や人数などに合わせてプログラムを組んでもらうことができます。

私たちmachico防災部メンバーは「2時間」の取材時間に合わせて、ロープワーク・簡易担架づくり・ほふく前進・浄水体験・火起こし体験の5つのプログラムを体験させていただきました!
教えてくださったのは、約40年間自衛隊員として勤務し豊富な知識と経験を持つ、小暮文夫さん。キャンプスキルすら「ほぼゼロ」の私たちにも、丁寧にわかりやすく説明してくださいました。

それでは早速、防災キャンプの様子をご紹介します!

 

避難・救助に役立つ!ロープワーク

避難・救助に役立つロープワーク

最初に教えてもらったのは、ロープの使い方。キャンプやアウトドアのシーンでよく使われるロープですが、災害時の避難や救助の際にも役に立ちます。
結び方には、「本結び」「二結び」「巻き結び」「八の字結び」「舫(もや)い結び」などいろいろな種類があり、目的に合わせて使い分けることでさまざまな場面で活躍します◎

本結び

基本の結び方でもある「本結び」。2本のロープを使って本結びを繰り返し、足を掛けるための輪をたくさん作ると、簡易的なハシゴができ高い場所からの避難に使えます。

 

舫い結び

次に教わったのは、川や海で溺れている人を助ける命綱として使える「舫い結び」。しっかりと固定できる上にほどきやすく、一度作った輪っかの大きさが変わらないようになっているので、胴体に巻き付けても身体を締め付けることなく救助することができます。

人命救助に使えるロープの活用

たくさんある結び方を覚えるためには何度か練習する必要がありますが、キャンプやアウトドアを楽しみながらロープの活用術を覚えれば、あらゆる用途に使えますね◎

 

怪我人の救助に役立つ!簡易担架づくり

簡易担架づくり

動けなくなっている怪我人を安全な場所に運んだり救助したりする時に役立つのが、身の回りのもので作れる簡易担架。使うのは、毛布と長い棒2本。丈夫な竹竿を使うのが理想ですが、近くに使えるものがない場合はがれきの木や太めの物干し竿を使ってもOK。長机がある場合は、脚を畳んだ状態で代用することも可能です。

 

簡易担架づくり

小暮さんの指導の下、早速作っていきます。まずは布を広げて、長辺の中央部分に竹竿を置きます。

簡易担架づくり

置いた竹竿を挟むように布を折り返し、2枚重ねに。

簡易担架づくり

中央に挟んだ竹竿からだいたい40cmぐらいの位置にもう1本の竹竿を置き…

簡易担架づくり

再度竹竿を挟むように、布を2枚重ねたまま折り返します。

簡易担架づくり

折り返した布の端をもう片方の竹竿に巻き付ければ、簡易担架の完成!

 

簡易担架づくり

約30kgの重りを載せて実際に運んでみました!どっしりとした重さは感じましたが、簡易担架を使うことで女性2人でも簡単に運ぶことができましたよ。

 

ジャンパーでつくる簡易担架

大きな布がない時は、ジャンパーを裏返して腕部分に棒を通してもOK!日頃から身の回りのものがどんなことに役立つか、考えておくことも大切ですね。

 

素早く安全に避難!ほふく前進

災害時に役立つほふく前進

ほふく前進と聞くと、敵に見つからないように移動するサバイバル術を連想する方が多いかもしれませんが、「火災時に煙を吸わないように逃げる」「地震発生後に障害物を避けながら逃げる」などなど、いろいろな場面で使える避難方法でもあるんです。

ほふく前進のポイント

ほふく前進のポイントは、左右の手足を交互に使い、胴体をひねりながら進むこと。イグアナなどの爬虫類の歩き方をイメージすると良いそうです◎

ほふく前進

ほふく前進

実際にやってみると想像以上に難しく、3人そろって大苦戦(笑)!頭ではわかっていても、体がついてきません…。小暮さんのお手本は目にもとまらぬ速さでしたが、私たちはこんなに短い距離を1分ぐらいかけてゴール。このままではいざという時に逃げ遅れてしまう危険性が高いと判断し、「日々練習しよう」と全員で誓い合いました。運動不足解消にもなるので、ぜひみなさんも小暮さんからやり方を教わって試してみてください!

 

どんな水もきれいな飲み水に!浄水体験

災害時の浄水体験

たくさんある防災グッズの中でも、雨水や河水をきれいな飲み水に変えることができる浄水キットはとても便利です!今回は、「逆浸透膜浄水器きゃりーぴゅあぴゅあ®2」という災害用の浄水器の使い方を体験させていただきました。

浄水体験

自転車の空気入れのような手押しポンプを動かすと、赤い色がついた水が透明な水になって出てきました!キャリーケースの中に収納されている浄水装置があらゆる細菌やウイルス、有害化学物質を取り除いてくれるんだとか。どこにでも持ち運ぶことができ、電気を使わずに使用できるので、まさに災害時にはぴったりです。

 

家庭用浄水器

個人の自宅に用意しておくには、家庭用の製品がおすすめ。ホームセンターやインターネットで探すと、お手頃価格の災害用浄水器が販売されていますので、ぜひ探してみてくださいね。

 

あなたは何秒で着火できる?!火起こし体験

火起こし体験

災害時、電気やガスが止まっても使える「カセットコンロ」は一家に一台必ず用意しておきたいものですが、屋外でも簡単に火を起こせたら、調理をしたり焚火で暖をとったりするのに困らずに済みます。
そこで役立つのが、「マグストライカー」という火起こしのための道具。キャンプやアウトドア用品としても使われています。付属の固いヘラで棒状のマグネシウムを勢いよく削ることで、約1,000℃以上の火花が発生し火がつく仕組みです。

火起こし体験

マグストライカー初体験の防災部メンバーは「本当にこれで火がつくの?!」と半信半疑になりながら、小暮さんの指導に従って力いっぱいマグネシウムを削りました。

火起こし体験

すると確かに、小さな火花が起こるではありませんか…!!しかし、火花が紙や草などに火種として燃え移らないと意味がありません。火花を発生させる微妙な角度や力加減を徐々に掴んできた私たちは、一心不乱にマグストライカーをこすり続けます。開始から5分、10分と経過し、ついにその瞬間が訪れました。

火起こし体験喜ぶちゃそ

着火できたのは、ちゃそ!思わずガッツポーズが飛び出しました!
ライターやマッチなど簡単に火をつけられるグッズは他にもありますが、自分で火を起こしてみると、火のありがたさを改めて感じることができました。マグストライカーはライターやマッチよりも安全に使える上に、一つ2,000円弱と手軽に購入できる価格でもあるので、ぜひキャンプやBBQの機会に使ってみてくださいね!

 

東松島の教訓を伝えながら、心の復興も。

楽しい2時間はあっという間に過ぎ、初めての防災キャンプが終了。参加して最も強く感じたのは、これまで「助けてもらう側」だと思っていた自分でも、誰かを「助ける側」になれるということでした。
特別な訓練や試験を受けていなくても、少しの知識や経験さえあれば「自分」と「周りの人」の命を救うことができます。KIBOTCHAは、そんな大切な気づきを与えてくれる場所でした。

 

防災キャンプの後に、東松島市地域おこし協力隊員の砂像彫刻家・保坂俊彦さんがKIBOTCHA敷地内の旧野蒜小体育館跡に作ったサンドアートを見学させていただきました。

慈愛の像

慈愛の像

東日本大震災の追悼式のために作られたこの像のテーマは、「慈愛」。未来を生きる子どもたちのために震災からの学びを伝え続ける東松島市の皆様とこの像が重なって見えました。

キボッチャのスタッフ・千葉耕史さん

案内してくださったKIBOTCHAスタッフの千葉耕史さんは、「この場所を訪れた地元の方々が“ありがとう”と言って手を合わせてくださって、本当にうれしかったです。これからも“アート”の力で心の復興をサポートできたら」と語ってくださいました。地元の方々にとっても心の拠り所になっているKIBOTCHA。「必ずまた来ようね」と話をしながら、私たちは帰路につきました。

 

そしてその日の夜、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生しました。2022年3月16日のことです。その影響でサンドアートは崩れてしまい、私たちが最後の見学者となってしまいました。
防災について学んだその日に、地震が起こるとは。誰もが想像していませんでした。でも、それが自然災害というもの。今この瞬間にも災害が起こるかもしれない。だから私たちは、できる限りの備えをしておかなければならないのです。machico防災部はこの経験を忘れず、今後もさまざまな体験を発信していきます。

 

KIBOTCHAでは、宿泊施設やレストラン、小さなお子様向けの室内アスレチックのほか、屋外にはグランピング・キャンプ・BBQを楽しめるエリアも整備されています。地域の自然や文化、産業に触れられるアクティビティもたくさん用意されていますので、防災キャンプと一緒に楽しんでくださいね!

 

「machico防災部」の活動は、せんだいタウン情報machicoが
震災10年目を機にスタートさせた「つながるプロジェクト」の一環です。

つながる こころ つよくなる「machicoつながるプロジェクト」

KIBOTCHA(キボッチャ)

住所 宮城県東松島市野蒜字亀岡80番
公式サイト https://kibotcha.com/

KIBOTCHAで体験してみたいプログラムはどれ?記事の感想もお待ちしています!

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