せんだいタウン情報 マチコ

2019年07月31日
夏休みは、「日本遺産」へ。日本初の産金地・宮城県涌谷町で、歴史を感じるひとときを。

日本遺産特集

皆さんは、日本で初めて“金”が産出された地域を知っていますか?
実は、古くから「みちのく」と呼ばれてきた、この東北地方こそが日本初の産金地なんです。なかでも、「黄金山産金遺跡」がある宮城県北部の「涌谷町」は、日本の“金”発祥の聖地といわれています。こうした歴史的なストーリーが認められ、宮城県涌谷町・気仙沼市・南三陸町、岩手県陸前高田市・平泉町の5つの市と町が、令和元年初の「日本遺産」に認定されました。

 

「日本遺産(Japan Heritage)」とは?

広く知られている「世界遺産登録」や「文化財指定」とは異なり、「保護や保存」を目的としたものではなく、地域に点在する有形・無形の文化財群を「面」として活用し、地域活性化を図る取り組みのこと。地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを、文化庁が「日本遺産」として認定しています。今年で5年目を迎え、これまでに計83件が認定。2020年度までに100件程度の認定を目指しています。

 日本遺産ポータルサイト 

 

日本遺産「みちのくGOLD浪漫」が誕生!

まずは、今回認定を受けた日本遺産「みちのくGOLD浪漫―黄金の国ジパング、産金のはじまりの地をたどる―」の歴史的背景を簡単に紹介します。

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今からおよそ1250年前、奈良・東大寺に大仏の建立をすすめていた聖武天皇が仏身に塗る金の不足に苦慮していたとき、現在の涌谷町にあたる陸奥国小田郡から日本初の金が産出され、陸奥国守百済敬福がここで採れた砂金900両を献上しました(天平21年)。これによって大仏は無事完成し、聖武天皇はその喜びから元号を「天平」から「天平感宝」に改元。さらに、万葉歌人の大伴家持は、「すめろきの御代栄えむと東なるみちのく山に金花咲く」の歌を万葉集に残しました。
砂金採りから始まった金採掘はやがて地域一帯の川や海に広まり、戦国時代から近代にかけて金鉱山の開発が進められていきました。こうしてみちのくの地が生んだ金は富の象徴のみならず、奈良・東大寺の大仏や平泉・中尊寺金色堂を彩り、祈りの対象として人々の心に光を灯し続けてきました。このように独自の文化や信仰、産業へと昇華した金と人々の縁を「みちのくGOLD」と名付け、改めてその価値や魅力を国内外に発信しようとするのが、今回の日本遺産「みちのくGOLD浪漫」です。

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宮城県内の認定は、「政宗が育んだ“伊達”な文化」に続いて2件目。岩手県では今回が初の認定となりました。これを記念して、2019年5月、涌谷町内の黄金山産金遺跡で記念式典が行われました。涌谷町の遠藤釈雄町長は、「日本遺産の認定によって、2市3町という大きな仲間ができたので、力を合わせて地域の魅力を発信し、ゴールド色に輝く東北をリードしていきたい」と意気込みを語りました。

日本遺産認定記念式典

 

夏休みは、“浪漫”漂う涌谷町巡りへ

涌谷町には、日本遺産に関わる遺跡やスポットがたくさん。ここからは、夏休みにぴったりな涌谷町のおでかけ情報を紹介します。
記念式典が行われた「黄金山産金遺跡」には、日本初の産金を記念して建立された仏堂跡とその由緒を伝える「黄金山神社」があります。神社の境内には大伴家持の万葉歌碑も。

万葉歌碑

 

境内へと続く石段には静穏な空気が流れ、現実とは別の世界に迷い込んだような感覚に。

黄金山神社に上る階段

 

黄金山神社の麓には、休憩処として利用できる「くがね庵」が。きれいに手入れされた庭園に目を奪われます。

くがね庵

 

建物の入り口では、風情ある案内版が出迎えてくれます。

くがね庵メニュー

 

中に入ると、庭を一望できる茶室や床の間に金箔をあしらった茶室があり、ここで気軽に抹茶を味わうことができます。誰にも邪魔されない空間の中で、ゆったりひと休み。

くがね庵

 

仙台から気仙沼へと続く国道346号線沿いに建つ、真っ赤な柱が目印の「天平ろまん館」は、必ず立ち寄りたいスポット。レストランや直売所があり、郷土料理やお土産選びを楽しめます。

天平ろまん館

 

中には歴史館もあり、昔の採金技術を紹介する映像や模型のほか、産金に関わる貴重な文化財などを多く展示しています。

歴史館

 

天平ろまん館の外には、「砂金採取体験施設」も併設。大きな椀を利用して砂の中から砂金を見つけ出す「椀がけ法」で砂金採りを体験できます。

砂金採り体験

 

子どものころ、家族でこの場所を訪れたことがある編集部員。経験者の余裕を見せつけようと躍起になりますが、砂金は見つからず。結局、同行した取材班が見つけてくれました。つい時を忘れて夢中になってしまうのは、金が持つ特別な魅力のせいでしょうか。きっと昔の人々も、それぞれに夢や憧れを抱きながら、金の採掘に人生を賭けたのかもしれません。

砂金

わくや万葉の里 天平ろまん館
住所 遠田郡涌谷町涌谷字黄金山1-3
TEL 0229-43-2100
営業時間 9:30~17:00(11~3月は16:30まで)
休館日 水曜(祝日と重なった場合はその翌日)
 公式サイト 

 

砂金採りに夢中になったらお腹が空いたので、涌谷町のソウルフードを味わえる人気店『パーラー旅』へ。天平ろまん館から車でたった2分の場所にあります。レトロな雰囲気が漂う、古き良き洋食店です。

パーラー旅

 

注文したのは、名物「元祖 特製カツカレー(スープ付き、800円)」。完熟バナナが入っているというあま~いカレールーと、玉子でとじた甘じょっぱいヒレカツとの絶妙な味のバランスがくせになる、オリジナルカレー。お腹いっぱいいただきました。ごちそうさまでした!

カツカレー

パーラー旅
住所 遠田郡涌谷町涌谷中江南12-1
営業時間 11:30~15:00
定休日 月曜

マチグルメ

 

 

一粒の砂金の産出から始まった日本の“金”の歴史。その原点が、ここ涌谷町にあります。天平の時代に生きた人々の浪漫に思いを馳せながら、夏休みに訪れてみてはいかがでしょうか。

行ってみたいと思ったスポットはどこ?涌谷町のおすすめ情報もお待ちしています!

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