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2017年11月01日
人との出会いを歌の力に シンガーソングライター・半﨑美子さんインタビュー
machico的・気になるパーソン
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テレビ番組「NHKみんなのうた」で、自身の楽曲「お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙~」が放送され、各局の有名番組でも次々と特集が組まれるなど、全国的に話題を呼んでいる北海道出身のシンガーソングライター・半﨑美子さん。今年4月に発売したミニアルバム「うた弁」の収録曲「サクラ~卒業できなかった君へ~」が、有線チャートで多くのリクエストを得る大ヒットとなり、シングル作品として改めてリリースされました。同作品には、石巻の被災地支援に取り組んだ経験から生まれた楽曲も2曲収録。人一倍の行動力で、17年間の歌手人生を走り抜けてきた半﨑さんの「これまで」と「これから」に迫りました。

 

●まず、今回改めて発売された「サクラ~卒業できなかった君へ~」は、どのようにして生まれた曲ですか?

 いつも私の曲の演奏をしてくれているアコーディオン奏者の方から、高校生の時に同級生を亡くしたという話を聞いてから、心の中にずっと残っているものがありました。それで「卒業するというのは当たり前のことではない」という想いを歌に乗せて表現した曲を、昨年の夏に作りました。そういうパーソナルな曲だったのですが、歌い始めると皆さんから予想以上の反響をいただいて、同じような経験や想いを持っている方たちがたくさんいることを知りました。
 「サクラ」というキーワードがタイトルとなった曲を、あえて9月にリリースした理由は、この曲のテーマに関係しています。この曲は、春を歌うというより、心の中に生き続ける大切な人に思いを送る歌なので、季節を限定せずに聴いてもらいたいと思ったからです。サクラは、春以外はあまり注目されませんが、花を付けるために一年を通して準備をし、息づいています。

 

 

●同時収録されている楽曲「種」と「感謝の根」は、震災後の石巻を訪れたことがきっかけで制作されたと伺いましたが、その経緯を教えてください。

 2013年に、石巻の大川地区で開かれたお祭りに参加させていただくことになり、そのイベント前日にキーボードに向かったら、「種」という歌が生まれました。震災が起きてからずっと心の奥に沈殿していた自分なりの想いを一気に曲にしました。種は、自身の移動能力がなくても、虫や鳥や風などが運んでくれて命を繋げてくれる。それと同じように、私自身も、ずっとずっと昔から受け継がれてきた命を引き継いで、今、私の番を生きています。そういう命の繋がりや尊さを表現した歌です。
 それから4年が経った今年の3月11日に、たまたま2日間スケジュールが空いていたので、石巻に炊き出しのボランティアに行きました。その時、4年前のライブでも協力していただいた方が、「せっかくだから歌ってほしい」と言ってくださり、炊き出しをした翌日に急遽、カフェでミニライブを開催しました。そこではリリース前の「サクラ~卒業できなかった君へ~」も歌いました。被災した大川小学校にサクラの木を植える活動をしている阿部良助さんも来てくださっていて「これは俺の歌だ」と涙を流していて、私も涙が止まりませんでした。
 最初に訪れてから4年が経った石巻の町の様子やミニライブを通して、至る所に「感謝」が溢れているように感じました。地元の皆さんが、お互いに助け合ったり、辛いことを一緒に乗り越えたりしてきたことで、この地にたくさんの感謝が生まれたのだなと思いました。そのライブの帰り道にできたのが、「感謝の根」です。震災に限らず、生きていると色々な困難がありますが、それを乗り越えた先にあるのが感謝で、生きている分だけ、感謝の根は深く伸びていくと思います。そういったことを歌っているのが、この2曲です。

 

 

●「NHKみんなのうた」で、ご自身の曲が放送されると聞いた時は、どう思いましたか?

 非常に感激しました。「自分の歌が、自分自身より長生きしてほしい」と考えながら活動してきたので、自分を含め、多くの方が慣れ親しんだ番組で放送されることは、本当にうれしかったです。子どもと一緒にテレビを見ているお母さんに向けて作ったエールの曲でもあるので、世代を超えて長く愛される曲に成長してほしいです。

 

 

●今年、多数の有名テレビ番組に出演されたことで、これまで半﨑さんのことを知らなかった人たちにも歌を聴いてもらう機会が増えたと思いますが、そのことを実感する出来事は何かありましたか?

 私はよくショッピングモールでライブを行っているので、その活動を例にとっても、これまでは「歩いている人の足を止めるにはどうしたらいいんだろう」と考えるところから始まって、少しずつお客様を集めていきました。しかし今は、モールのオープン前からたくさんの方が並んで待ってくれていたり、ライブ中、一緒に歌を口ずさんでくれたりするお客様がたくさんいらっしゃるので、とても驚いているし、うれしく感じています。もちろん、チャートなど「数字」として結果が出ていることもすごくありがたいですが、直接肌で感じられるお客様の反応が一番うれしいですね。

 

 

●歌手活動の中で転機となった出来事はありますか?

 やはりショッピングモールでのライブ活動です。元々は、ライブハウスで歌うことが多かったのですが、機会があってモールで歌い始めました。その時は、全然足を止めてもらえず、お客様が2~3人しかいないということもありました。でもその中でも、私の歌を聴いて、涙を流しながらCDを買いに来てくれた人がいたんです。その場の偶然の出会いから繋がりが生まれたということが、当時の自分にとってすごく大きな出来事でした。
 その後2013年くらいから、「ツアー」という形でたくさんモールを回るようになって、自分の心の在り方も曲も変わっていきました。ショッピングモールのお客様は、買い物をするためにその場に来たというだけで、音楽を聴きに来たわけではないし、歌が好きとも限りません。だからこそ、そこにたまたま居合わせた人たちが、私の歌を聞いて涙してくれたり、警備員さんやショップ店員さんが仕事の合間をぬってCDを買いに来てくれたりすることが本当にうれしいです。私は、「日常の空間」で自分の歌を届けたいと想っているので、ライブハウスのような「非日常の空間」も良いのですが、私にとっては、日常生活の場であるショッピングモールで歌を歌うことが、大きなやりがいになっています。

 

 

●次に、音楽活動を始めた頃のお話を聞かせてください。活動に専念するため大学を中退し、お父様の反対を押し切って単身上京されたとのことですが、それほどまでに半﨑さんを動かしたものは何だったのでしょうか。

 「歌を通して、誰かに何かを伝えたい」とか、そういうことはあまり考えていませんでした。人前で歌を披露した時に、強い手ごたえを感じて、衝動的に音楽に目覚めたんです。その時に、「自分の生きる道はこれだ!」と思いましたね。歌うことの楽しさや喜びだけで上京を決意しました。

 

 

●音楽活動を辞めたいと思ったことはなかったのですか?

 「好き」という言葉だけでは表せないほど音楽が大好きで、私の人生の大半を占めているものなので、辞めたいと思ったことは一度も無かったです。そもそも、私の思考回路に「音楽を辞める」という選択肢は存在していませんでした(笑)。


PV「サクラ~卒業できなかった君へ~」アニメver.(ショート)

 

 

●どこの事務所にも所属することなく個人で活動していた理由を教えてください。

 お声を掛けてくださった方々もいたのですが、なかなかご縁がありませんでした。歌に対する自分の熱量がすごく高かったので、それを超えるくらいの熱い想いを持った人たちと一緒にやりたいと考えていました。
 ライブの準備なども含めて、活動に関わることは全て自分で手配していたので、「大変ですね」と言われることが多かったのですが、所属の経験がない私にとってはそれが普通のことなので、そこまで「大変だ」と思ったことはなかったですね。逆に、どこまで1人でできるか、挑戦していくことがどんどん面白くなってきて、個人でも楽しく活動していました。

 

 

●半﨑さんの一番の支えは何ですか?

 自分の歌を必要としてくれる人たちです。その人たちの言葉や涙が私の栄養となって、新しい曲をたくさん作れています。個人でやってきた中で、上手くいかないことや傷付くようなことを言われたこともありましたが、そんなことは「取るに足らないことだ」と思えるくらい、素晴らしい出会いがありました。そういう出会いに恵まれて、たくさんの方に歌を聴いてもらえていることが、一番の支えになっています。

 

 

●現在、お父様は半﨑さんの活動をどのように見守られていますか?

 今は、ものすごく応援してくれています。新しい曲が出たら、こっそりラジオ局にCDを送ってくれたり、親戚や会社の人に声を掛けてライブに来てくれたり……。本当にありがたいです。もちろん母もすごく応援してくれているので、両親への感謝の気持ちはとても強いです。

 

 

●音楽活動を始めた頃と、それから17年が経った今の半﨑さんを比べて、「変わったこと」・「変わらないこと」をそれぞれ教えてください。

 上京当時は、とにかく歌を聴いて欲しくて、自分のことを発信することばかり考えていましたが、モールで歌い始めてからは、お客様の立場に立ってライブのやり方を考えたり、お客様の気持ちを汲み取ろうとする気持ちが芽生えたりしたので、「受信する力」が身に付いたと思います。そこが変わった点ですね。
 変わらないのは、「行動力」です。会社に所属して活動するようになった今も、受け身になることは絶対に無いです。もっとたくさんの人に歌を聴いて欲しいという気持ちも17年前と全く変わらないので、自分から発信していく貪欲さは持ち続けています。

 

 

●教科書に自分の歌が載ることが一番の夢とのことですが、その実現のために特に力を入れようと考えていることはありますか?

 教科書に載ることを目標にして何かに取り組むのではなく、載ることができるような素晴らしい曲を書き続けて、真摯に活動をしていった結果として、夢が実現すればいいなと思っています。今、合唱曲の作曲に取り組んでいるのも、時代や世代を超えて長生きする曲を作りたいという想いからなので、実際に私の曲をたくさんの方に歌い継いでいってもらえるように、あらゆる面で頑張っていきたいです。

 

 

●読者の方にメッセージをお願いします。

 ぜひ一度、私の生の歌声に触れていただきたいです。そのためにも、色々な場所で何度でも歌いに行くつもりです。皆さんもぜひ足を運んでいただければと思います!

 

 

●最後に、半﨑さんにとって“音楽”とは?直筆で書いていただきました。

 

 

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 歌を歌うことに「生きる道」を見い出し、17年間自分を見失うことなく走り続けてきた半﨑さん。決して平坦な道ではなかったはずなのに、どんな道も「真っ直ぐ伸びた一本道」かのように、前だけを向いて駆け抜けてきました。自分を信じ、売り込む「発信力」は、半﨑さんが生まれながらに持った才能です。しかしその自信を支えてきたのは、彼女の歌を必要とするたくさんの人々と新たな出会い。自分のことだけに目を向けるのではなく、周囲の声に耳を傾ける「受信力」を身に付けたことで、より多くの人の心を捕えて離さない歌を生み出しています。
 半﨑さんの、未来を見据えた前向きな楽曲は、きっともっとたくさんの人に届いていくはず……。そんな大きな可能性を感じずにはいられないインタビューでした。ぜひあなたも、自分を信じて突き進む勇気をもらえる歌声に触れてみてください。

 

ライブ情報

中島みゆきリスペクトライブ〜2018「歌縁」仙台公演@東京エレクトロンホール宮城
日程:3月21日(水・祝)
会場:東京エレクトロンホール宮城
出演:クミコ/研ナオコ/中村 中/新妻聖子/半﨑美子(五十音順)
時間:開場 16:00 開演 16:30 (予定)
料金:全席指定 ¥8,800(税込) ※未就学児のご入場はできません。
※中島みゆきさんの出演はございません。

チケット一般発売 12日2日(土)10:00〜発売スタート
【お問い合わせ】キョードー東北 http://www.kyodo-tohoku.com
022-217-7788(営業時間/平日10:00~19:00 土曜10:00~17:00)

 

半﨑美子公式サイトはこちら

 

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【応募締切】2017年11月28日(火)
【当選発表】メール送信をもって発表とかえさせていただきます。

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