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2025年11月26日
食べて、知る、福島県飯舘村。豊かな「食」を仙台で楽しむ12月期間限定メニュー!

食べて、知る、福島県飯舘村。豊かな「食」を仙台で楽しむ12月期間限定メニュー!

食べて、知る、福島県飯舘村。豊かな「食」を仙台で楽しむ12月期間限定メニュー!

仙台から車で約1時間20分。福島県北部に位置する飯舘村に降り立ったのは、10月初頭のことです。阿武隈山系北部の高原に開けた自然豊かなこの村にも、木々の色づきとともに、秋の気配が訪れ始めていました。

同行したのは、仙台の飲食店グループ「Humming Bird」系列店の店長やシェフたち。その目的は、12月に期間限定で提供するメニューに使う食材を探すためです。

ここでは、シェフたちと1日かけて村内を巡り、体験してきた飯舘村の「食」の魅力をご紹介。最後には、各店舗で食べることができるメニューも掲載していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

Page Index

飯舘村役場を訪問し、震災後から現在までの「農」のあゆみを知る

若き生産者が手がける「飯舘産黒毛和牛」

2025年7月オープンの「マデイズカフェ」でランチタイム

農家の女性たちが愛情込めてつくり上げた「いいたて雪っ娘かぼちゃ」

村で1軒。穏やかな夫婦が丹精込めて育てる「菌床しいたけ」

2025年12月、期間限定!オリジナルメニュー紹介

 
 

飯舘村役場を訪問し、震災後から現在までの「農」のあゆみを知る

まず訪れたのは、村の中心部に位置する飯舘村役場。杉岡村長を訪問したあと、産業振興課農政係の齋藤係長より、飯舘村の概要や、東日本大震災後の農業のあゆみ、現状について教えていただきました。

2011年3月に起きた東日本大震災による原発事故の影響で、計画的避難区域に設定され、全村避難を余儀なくされた飯舘村。2017年3月の解除後も、事故の爪痕や風評被害などに立ち向かいながら、たくましく農業の復興に取り組んでいることがわかりました。


「今日は飯舘の空気をぜひ楽しんでいってください」と参加者に語りかける杉岡村長


「Humming Bird」の系列店からは12名が参加。齋藤係長のお話に真剣に聞き入っていました

 
 

若き生産者が手がける「飯舘産黒毛和牛」

続いて、畜産農家の山田豊さんの牛舎にお邪魔しました。代々農業を営み、米やブロッコリー、葉タバコなどを生産していたという山田家は、戦後に畜産を始め、「飯舘牛」の生産に携わるようになりました。

震災後、山田さんは京都を避難先に選び、精肉店「中勢以」に就職。約5年をかけて肉の目利き、肉を切る技術、好みに合わせた肉の売り方などを学びました。飯舘村の避難指示が解除になると、村に戻り、お父様と一緒に畜産に専念。水田を利用した「水田放牧」に取り組むなど、積極的な肉用牛繁殖経営を行っています。2023年7月には、京都で得た知識と経験を活かし、牛舎の敷地内に精肉店「肉のゆーとぴあ」もオープンさせました。


「飯舘産黒毛和牛」畜産家 株式会社ゆーとぴあ 山田豊さん


繁殖牛と子牛、肥育牛、合わせて約150頭の肉牛を精力的に育てています

精肉店では、自社農場で育てた「飯舘産黒毛和牛」や、自ら選んだ福島県産牛を中心に取り扱っています。特徴は、骨が付いた枝肉の状態で買い戻して、ドライエイジングという方法で熟成し、注文を受けてから骨抜き、カットを行うこと。そのため、骨から染み出た旨みと豊かな香り、肉本来の味わいを楽しむことができるのが魅力です。


枝肉をカットする山田さん。「お一人おひとりの年齢や好み、用途に適した肉の提案をしていきたいですね」と話します

畜産は村の基幹産業の一つで、地域ブランド「飯舘牛」を掲げ、ピーク時には300戸が畜産を営んでいた飯舘村。しかし、震災後、畜産農家は12戸までに減少してしまいました。それでも山田さんは、「いつか『飯舘牛』に変わる新しいブランドを、村全体で立ち上げたい」と前を向きます。

牛舎と精肉店を見学したあとは、場所を移動し、参加者全員で「飯舘産黒毛和牛」を試食しました。いただいたのは、“シンシン”と呼ばれるモモの芯の中心部分と、背側の筋肉部分にあたるリブロース。参加したシェフたちが自ら調理します。


ジュージューという食欲をそそる音とともに芳しい香りが漂います

“シンシン”はモモ肉でありながら、柔らかく、赤身ならではのアッサリとした味わい。対するリブロースは、適度にサシが入り、濃厚な旨みと脂身の甘みが口の中に広がります。参加者たちも、「飯舘産黒毛和牛」のポテンシャルの高さを実感した様子でした。


試食しながら「自分の店ではどんな料理で提供しようか」と試案を巡らせる参加者の皆さん

 

 

2025年7月オープンの「マデイズカフェ」でランチタイム


この日の日替わりメニュー「豚ヒレのサルティンボッカ」

ランチは、2025年7月にオープンしたばかりの「マデイズカフェ」へ。オーナー夫婦の佐藤弘典さん、美絵さんが営むこちらでは、ランチタイムには毎日3種類の日替りメニューを楽しむことができます(夜は予約にて営業)。

フランスでの修業経験もあるご主人が作るメニューはバラエティ豊か。この日、提供していただいた「豚ヒレのサルティンボッカ」には、地元産紅はるかのスープや、自家栽培の野菜を盛り込んだ小鉢などが登場。おいしい料理をいただきながら、和気あいあいとしたひとときを過ごしました。


のどかな田園風景が広がる小宮地区に建つ「マデイズカフェ」

ちなみにこの店舗、元は集会所だった建物をカフェにリフォームしたのだそう。「集会所のように、村の皆さんが気軽に集まれるお店にしていきたいです」とご主人は話していました。 


 

農家の女性たちが愛情込めてつくり上げた「いいたて雪っ娘かぼちゃ」

次に訪れたのは、農業をはじめ、体験型農家民宿の運営、食品加工・販売を手がける「までい工房 美彩恋人(びさいれんと)」。会長の渡邊とみ子さん、副会長の熊谷則子さん、そして加藤眞里子さんが温かく出迎えてくれました。

こちらでのお目当ては、飯舘村のご当地かぼちゃ「いいたて雪っ娘かぼちゃ」です。飯舘村の冷涼な気候のもとで育つ「いいたて雪っ娘かぼちゃ」は、村出身で元農業高校教師・菅野元一さんが40年以上前から育苗し、渡邊さんや熊谷さんとともに長年の改良を重ねて生み出した白皮のカボチャです。

震災後も避難先で栽培を続け、命の種をつなぎ、2017年に村での栽培を再開した渡邊さん。すると多くの人がその想いを受け継ぎ、今では復興の象徴として各地で栽培されるようになりました。


白く輝く薄皮に包まれた、艶やかで色濃い黄色の果肉が特徴です

こちらでは、一つひとつ糖度と乾物率(水分を除いた重量の割合)を測定し、糖度13度以上、乾物率25%以上のものを「いいたて雪っ娘かぼちゃ」として出荷。ひと口食べるとホロッと口の中でとろけるようなしっとりした食感から、濃厚で優しい甘さがあふれてきます。


糖度の異なる「いいたて雪っ娘かぼちゃ」を食べ比べ。裏ごししてペースト状にしたものもいただきました


参加者からは「ぜひメニューに取り入れたい」という声が挙がっていました


「『いいたて雪っ娘かぼちゃ』が素晴らしい料理になって、多くの人に味わっていただけることをうれしく思っています」と話す渡邊さん

「いいたて雪っ娘かぼちゃ」は、シーズン中はオンラインストアや「いいたて村の道の駅までい館」で購入が可能。「いいたて雪っ娘かぼちゃ」を使ったプリンやマドレーヌ、ドレッシングなどの加工品も人気とのことです。


左から、熊谷則子さん、渡邊とみ子さん、加藤眞里子さん


 

村で1軒。穏やかな夫婦が丹精込めて育てる「菌床しいたけ」

飯舘村巡りも大詰め。最後の目的地に選んだのは、菌床しいたけの生産現場です。手がけているのは、高野靖夫さん、笑子さんご夫婦。代々続く米農家で、以前は「飯舘牛」の生産も行っていましたが、震災後に菌床しいたけ栽培を始めました。

村の面積の7割以上を森林が占める飯舘村では、かつては伐採した木に種菌を直接植え付け自然環境下で栽培を行う原木しいたけの生産が盛んでした。しかし震災の原発事故の影響で、原木しいたけの生産は実質不可能に。「菌床でしいたけを栽培しているのも、村ではうちだけです」と靖夫さんは語ります。


優しい笑顔が印象的な高野さんご夫婦。菌床しいたけのほか、米やミニトマトも生産しています

菌床栽培とは、おがくずに米ぬかなどの栄養源を混ぜた人工培地(菌床)を使って栽培する方法。高野さんのところでは、3棟のハウスで「富富(とむとむ)」と「森113号」という2種類の品種を育てています。いずれも大きく肉厚で、食べごたえがあるしいたけです。


ジューシーでコクのある旨みが特徴。しいたけが苦手な人でもおいしく食べられると評判です

栽培に当たっては、靖夫さんいわく、「温度と湿度の管理が一番大変」とのこと。温度は17~18℃を保ち、湿度も適度に加えつつ、カビが生えないよう気を配っています。今の時期は、毎朝1回収穫を行うのが日課。「1日、目を離しただけであっという間に大きくなるので、収穫のタイミングが難しいんです」と笑子さんは語っていました。


ハウス内ですくすくと育つしいたけ

こうして丹精込めて育てられたしいたけは、そのまま焼いて食べてもよし、天ぷらにしても味付けご飯にしてもよし。手のひらを覆い隠すほどの大きさのしいたけを前に、シェフたちも創作意欲をかき立てられているようでした。


 

ー取材メモー

村を巡っている最中、何度か耳にした“までい”という言葉。これは、「丁寧に」とか「心をこめて」という意味を持つ福島の方言で、飯舘村では何事においてもこの精神が大切にされているそうです。震災という苦境を経験し、今なおさまざまな困難の中にある飯舘村。そうした中でも“までい”の精神を忘れずに、一歩一歩前進を続ける村の方々のお話を伺い、「食べて応援したい」という気持ちが自然と芽生えてきました。

 

 

2025年12月、期間限定!
オリジナルメニュー紹介

仙台の「Humming Bird」系列店6店舗で飯舘村を体感!  公式HP 

【提供期間】2025年12月1日(月)~31日(水)

イルチェントロ ハミングバード

【メニュー】●福島県産飯舘村のジャンボ椎茸とベーコンエッグのアルフォルノ●福島県産飯舘牛スジ肉と雪っ娘かぼちゃのトマトスパゲッティ●福島県産飯舘村のジャンボ椎茸のクリームリゾット●雪っ娘かぼちゃのモンブラン、マスカルポーネのムース

炉地BAR八兵衛

【メニュー】●トリュフ香る飯舘牛のストウブご飯●特大椎茸の香草バター焼き●雪っ娘かぼちゃとアーモンドプラリネの自家製アイス

大衆酒場 稲虎²

【メニュー】●雪っ娘かぼちゃの天ぷら●ジャンボ椎茸のバター醤油焼き

うどん酒場七右衛門

【メニュー】●飯舘産黒毛和牛炙りと温泉玉子のだしうどん●飯舘産 肉厚しいたけの天ぷら

CROSS B PLUS

【メニュー】●飯舘村産肉厚椎茸と生ハムのパスタ〜香草バター仕立て〜●飯舘村雪っ娘かぼちゃのブリュレテリーヌ〜メープル仕立て〜

南欧BARU INATORA

【メニュー】●飯舘産肉厚しいたけのフリット●飯舘産肉厚しいたけのアヒージョ●雪っ娘かぼちゃのクレームブリュレ

 

 

生産者さんが愛情を込めて育てた食材。知って、食べて、楽しんで、飯舘村に興味をもっていただけるような特別メニューになっています。同じ想いを持つ生産者さん、Humming Birdとの最強タッグ。美味しくならない筈がありません。

 

「Humming Bird」系列店の店舗情報はこちらから

※メニュー内容は変更になる可能性がございます
※お店によってはメニューの提供日・提供時間を限定させていただく場合がございます

 

 

福島県飯舘村

公式サイト https://www.vill.iitate.fukushima.jp/

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