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2024年05月10日
醸造家と老舗料亭 食のコラボレーション 知られざる食の回廊 「福島県浜通り」グルメ旅 ~日本酒・ビール・ワイン醸造編~

醸造家と老舗料亭 食のコラボレーション 知られざる食の回廊 「福島県浜通り」グルメ旅 ~日本酒・ビール・ワイン醸造編~

醸造家と老舗料亭 食のコラボレーション 知られざる食の回廊 「福島県浜通り」グルメ旅 ~日本酒・ビール・ワイン醸造編~

食と酒をこよなく愛するmachico会員5名のみなさんとの日帰り旅へ。
リアルな情報をお届けします。

みなさんは福島県の「浜通り」へ旅をしたことはありますか?「浜通り」は、東の太平洋と西の阿武隈高地の間に位置する福島の広域エリアで、海の幸、野菜、果物、肉、酒と美味しいものがなんでも揃う、まさに「知られざる食の回廊」といえるスポットです。

仙台中心部に住んでいる人に、休日のおでかけ情報をヒアリングすると「山形にそばを食べに行ったり…」という声は聞こえてくるものの、隣接している福島県に足を運ぶ人は少ないようです。
宮城・山形と同じく、福島県の浜通りにはまだ多くの方の耳に届いていない魅力がたくさんあります。今回は、福島県の浜通りエリアの「食と酒」に焦点をあてて、みなさんの休日のおでかけの参考になる情報をたっぷりお届けいたします!

今回は、浜通りの醸造家を巡る「日本酒・ビール・ワイン編」です。
次回は、それらのお酒と料理を江戸時代から続く老舗料亭で味わう「食と酒のマリアージュ編」です。(5月23日公開予定)

〇この旅は、類を見ない東日本大震災という共有体験を持つ福島と宮城を繋ぎ、仙台圏から福島県浜通りへの誘客を目的とする福島県令和5年度誘客コンテンツ開発事業「相双地区の食文化と連携した料亭の観光開発事業」の一環です。今の福島を知ること、体験すること、食すること、楽しむことを通して、観光の再建と魅力の再発見に繋げるために開催されたモニターツアーです。

 

【今回の日帰り旅のタイムスケジュール】

 08:30  仙台駅からバスで出発

 10:30  道の駅なみえ・鈴木酒造店

 12:20  クラフトビール醸造所 HOPJAPAN

 14:30  かわうちワイナリー

 16:40  割烹料亭 正月荘 着

 19:00  割烹料亭 正月荘 発

 21:00  仙台駅にバス到着

 
 

「道の駅なみえ」の中に日本酒の酒蔵が!ワンコイン試飲機で飲み比べ

仙台駅から約2時間で、2021年3月にグランドオープンした大人気の「道の駅なみえ」に到着。
東日本大震災による原子力災害の影響を受け、現在の浪江町の居住率は震災前の約14%。多くの人が生まれ育った土地を離れて暮らしています。「道の駅なみえ」は、そんな浪江町の復興のシンボルであり、たくさんの人が集うことができる交流拠点でもあります。訪れた日は平日にもかかわらずたくさんのお客さまで賑わっていました。

道の駅なみえ

「道の駅なみえ」の中には、なんと日本酒の酒蔵があるんです。
鈴木酒造店は、江戸末期から請戸の海に近くで酒造りをはじめていたという記録があります。東日本大震災という天災は、そんな歴史ある「請戸本蔵」をすべて壊してしまいました。

その後、山形県長井市で酒造りを再開。現在も鈴木酒造店は「長井蔵」を残しながら、2021年の「道の駅なみえ」のオープン時に浪江町に酒蔵を再建し、10年ぶりに浪江の米と水を使った酒造りを再スタートしました。
代表銘柄は「磐城壽(いわきことぶき)」。海の男酒として愛されてきた浪江の酒です。

「磐城壽(いわきことぶき)」鈴木酒造店
 

「磐城壽」の他にも、鈴木酒造店の日本酒はたくさん。早速、「Sake Kura ゆい」にある噂のワンコイン試飲機で飲み比べ。

噂のワンコイン試飲機

お好みの酒を5つ選んで試飲できるスタイル

お好みの酒を5つ選んで試飲できるスタイルで、酒のつまみ付きで500円。

試飲 酒のつまみ付き

machico会員さんの人気No1の銘柄は「ゆい」。「磐城壽」の大吟醸や復活させた銘柄「土耕ん醸」もおすすめとのこと。

machico会員さんの人気No1の銘柄は「ゆい」
 

「Sake Kura ゆい」では、日本酒の試飲・販売の他、デザート感覚で楽しめる甘酒ソフトクリームや甘酒豆乳なども販売しているので、日本酒が飲めない方も楽しむことができます。

 
 

日本酒をたしなんだ後は、
フードコートで名物なみえ焼そばと釜揚げしらす丼

名物なみえ焼そばと釜揚げしらす丼

ご当地のB級グルメはシンプルなのになぜこんなに美味しいのか。「なみえ焼そば」は、うどんのような太麺の焼きそばに、豚肉ともやしと具材もシンプル。初めて食べたのになんだか家庭の味を思わせる懐かしい濃厚ソース味。
釜揚げしらす丼は生姜と醤油をかけて、海を感じるしらす本来の素材の味を堪能できる一品。
しらす盛り放題メニューもあったので、しらす好きはチャレンジを!

「道の駅なみえ」は目移りするほど楽しさに溢れています。
日本酒の試飲、ラインナップが豊富なフードコート、ご当地のお土産、産直市場、「大堀相馬焼」陶芸品、なんと「無印良品」まで。また、芝生の広々とした公園には福島応援ポケモン・ラッキーの遊具があり、キッズルームではピカチュウがお出迎え。畳でくつろげる談話室も。大人も子どもも集うことができる、まさに「交流拠点」でした。

お土産用のなみえ焼そば
お土産用のなみえ焼そば

ラッキー公園
ラッキー公園

「大堀相馬焼」陶芸品
「大堀相馬焼」陶芸品
 

ツアー参加者のみなさんからは、楽しすぎて時間が足りなかったというご指摘多数。訪れる際は、少なくとも1時間半以上は時間を確保して、食べて・飲んで・買って・遊んで、たっぷり浪江町をご堪能ください。

●道の駅なみえ
https://michinoeki-namie.jp/

 
 

緑とホップの風が感じられるブルワリー。クラフトビール醸造所「HOPJAPAN(ホップジャパン)」へ

山道を抜けた先にあったのは標高630メートルの阿武隈高原にある「グリーンパーク都路」。福島県田村市に位置する緑に囲まれたこの自然公園の中に、ホップ栽培から手がけるクラフトビールを醸造する施設「ホップガーデンブルワリー」はあります。

「グリーンパーク都路」MAP

「ホップジャパン」が大事にしていることは『循環』。1次産業~6次産業、そして0次産業化のサイクルを地域コミュニティで展開し、「人」×「もの」×「こと」を繋ぐブルワリーを目指しており、敷地内では、ビール造りの原料である大麦やホップだけでなく、最近は秋に赤そばが一面に咲く畑を利用した養蜂もはじめたそうです。

そして、2024年3月には都路産の初搾り蜂蜜と、国産生ホップをかけ合わせたクラフトミードが発売されました。商品名は「Allez hop(アレ・ホップ)」。フランス語で「さあ、行こう」を意味しています。

春は黄金色の麦畑、夏は10メートルの壁を作る緑のホップ畑、秋はピンク色の赤そば畑。そんな阿武隈高原の大自然の中で、手塩にかけて造られた高品質な「ホップジャパン」のクラフトビールは、常時7種類ほど提供されています。

自然・地球・宇宙を表す「陰陽五行」をテーマに造られているビール
自然・地球・宇宙を表す「陰陽五行」をテーマに造られているビール

「ホップジャパン」のクラフトビールは多数受賞

当日は、「ホップジャパン」のお話しの後、工場見学と試飲を行い、お気に入りのビールを購入。「ホップジャパン」のクラフトビールは多数受賞しており、Beer-1グランプリのIPA部門で金賞を受賞した「Abukuma RED」や田村市産のホップを100%使ったエールビール「Abukuma GREEN」が人気で自宅用に購入されていました。
 

ひとつのタンクで造られるのは約1000リットル、ビール約3000本分

ひとつのタンクで造られるのは約1000リットル、ビール約3000本分。
自社・契約農家を合わせて、10種類以上のホップを栽培しており、ホップを使い分けたり、香りを強めたりなどの手法を駆使して、約1ヶ月でクラフトビールが完成するそうです。

また、これらの「ホップジャパン」のクラフトビールをより多くの人に知って味わってもらうために、昨年いわき駅に隣接するS-PALいわき内に直営のスタンディングバーをオープンし、さらに今夏郡山駅前にも直営ビアレストランを出店するとのことで、より身近に味わえるようになりそうですね。

 
 

「俺のこれからの人生、地球にいいことを。そんな仕事がしたい。」

創業者の本間さんは、山形県出身。自然に囲まれて育ちました。その後、東北電力に就職し、会社の休職制度を利用して留学していたアメリカから帰ってきたのが、東日本大震災の前年。そして2011年に震災が起き、福島第一原子力発電所の事故もあったことから、人生を見つめなおしたそうです。
そこから、仙台で「ホップジャパン」を起業し、山形の方々にホップの栽培方法を教えてもらい、一からクラフトビール造りをスタートして今に至ります。

創業者の本間さん

本間さんはこうお話ししてくれました。
「今は、大量にモノを作って大量に捨てる時代の極みになっていると感じています。ホップジャパンでは、大量の自然の恵みをまた自然に戻していくというサイクルをこの場所で見せていくことで、持続可能な社会を緩やかなクラフトビールという世界で表現していきたいと思います。」

●ホップジャパン
https://hopjapan.com/
(EC販売あり)

 
 

眺望も堪能!村と人をつなぐ「かわうちワイナリー」

晴れの日のワイン畑

福島県川内村の標高約750mの阿武隈高地の大自然の中に囲まれた「かわうちワイナリー」へ到着。約4ヘクタールの広大なワイン畑の丘陵地を眼下に、統括マネージャーの遠藤さんの説明をお聞きしながら、ワインを試飲させていただきました。
「かわうちワイナリー」は、冷涼なテロワールを意識したワイン造りを目指し、標高約750mという丘陵地に2016年に苗木の植え付けを始動、約5年の年月を経て2021年に醸造施設が完成し、ワインの製造・販売をスタートしたフレッシュなワイナリーです。

説明を聞きながらワインを試飲

 
 

かわうちワイナリーのワインは、
Village(ヴィラージュ)シリーズとLIBEL(リベル)シリーズの2種。

かわうちワイナリーのワイン

●Village(ヴィラージュ)シリーズ

かわうちワイナリーの村の畑で収穫されたブドウのみで醸した“ヴィラージュ(仏:村の意味)”シリーズのワイン。標高約750mの冷涼な気候と花崗岩質土壌がはつらつとした酸味、そして豊かな香りが特徴のワインを生み出します。
 

●シリーズとLIBEL(リベル)シリーズ

“リベル” はオランダ語で「トンボ」を意味します。「トンボ」は風に乗ってやってくるので、「かわうち村の外」からやってきた人やモノを表現しています。原料となるブドウも県外(北海道の余市や山形の寒河江市など)のものを使用。品種も作り方も多様ですが、軽快且つエレガントな仕上りになっています。
 

復興のシンボルとなるワイナリー

統括マネージャーの遠藤さんは、川内村で生まれ育ちました。
ブドウ作りは4年目。原子力災害の影響で、ブドウ畑の土を全て入れ替えし除染作業を行うという尽力の結果、放射性物質が検出されない状態にすることができ、川内村の自然を活かしたワイン造りを取り組むことができるようになりました。

標高750メートルにあるブドウ畑は、寒い時期は最低気温がマイナス10度、最高気温がマイナス1度になるそうです。寒暖差のある土地は質の高いブドウが採れるとはいえ、とても過酷な環境でのブドウ作りに取り組まれています。

遠藤さんは、川内村が生まれ育ったふるさとなので、この土地の為に非常に辛い状況を乗り越えてきたと話します。一歩ずつ歩む、まさに復興のシンボルとなるワイナリーです。
試飲したmachico会員のみなさんもワインにフレッシュさ感じたそうです。ワインもまた、一年一年、味の深みを増していくのでしょう。

統括マネージャーの遠藤さん

畑にはブドウの木が約1万3500本。現在シャルドネ、メルロー、カベルネという品種が多く植えられています。20種類を超えるブドウの品種を育て、この土地に合うブドウを栽培をしながら探求されています。
また、高校生にも視察や体験をしてもらいながら、若い世代に川内村の「かわうちワイナリー」で働いてみたいと言ってもらえるようにがんばっているそうです。

●かわうちワイナリー
https://kawauchi-wine.com/
(EC販売あり)
※ワイナリーは平日9:00~17:00までワインを購入できますが、見学・視察も含め、事前にご予約をお願いします。

 

日本酒・クラフトビール・ワイン。すべての醸造家たちが、東日本大震災後に一旦歩みを止める必要がありました。しかし今は、再スタートを切っています。みなさんも醸造家たちに会いに行き、その美味しさを体験してたくさんの人に伝えていきませんか?

 

【後編】次回は、今回ご紹介したお酒と料理を江戸時代から続く老舗料亭で味わう「食と酒のマリアージュ編」です。(5月23日公開予定)

みんなが好む料理とお酒のペアリングを教えて!記事を読んだ感想も投稿受付中。

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【応募締切】2024年6月23日(日)
【当選発表】メール送信をもって発表とかえさせていただきます。

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