せんだいタウン情報 マチコ

2024年02月21日
うまみを引き出す。三陸・常磐ものを使った加工品の技とアイデア

うまみを引き出す。「三陸・常磐もの」を使った加工品の技とアイデア

うまみを引き出す。「三陸・常磐もの」を使った加工品の技とアイデア

世界有数の漁場として知られる三陸・常磐沖。親潮(寒流)と黒潮(暖流)が交わることで、おいしい海産物がたくさん獲れる海域です。そんな場所で水揚げされた「三陸・常磐もの」のおいしさはmachicoでもさまざまな角度から紹介してきました。 今回は、子どもから大人まで、お魚が得意じゃない方にも三陸・常磐もののおいしさを知ってもらおうと加工品づくりに取り組む地元企業のお話です。


 

目利き力と熟成技術で、魚をよりおいしく。ー塩竃・間宮商店

間宮商店

全国有数の生マグロ水揚げ量を誇る宮城県塩竃市にある間宮商店は、1966年の創業直後から干物の製造・販売を行ってきました。鮮魚問屋で経験を積んだ初代社長が大切にしてきたのは、原材料となる魚を見極める目利き力。刺身で食べられるほど新鮮で質の高い魚を干物にすることで、そのおいしさがあちこちで話題となり、次第に取引数が増えていったといいます。

今回machico編集部がお話を聞いたのは、2代目社長の間宮徳昭さん。築地魚市場で鮮魚の競り人として修行した後、間宮商店へ入社しました。先代の想いを受け継ぎ、魚の品質には特にこだわっているといいます。

間宮商店、社長

「先代は『魚が9割だ』とよく言っていました。それがうちの干物の一番の特長です。製造方法はとてもシンプルですが、原材料と同じくひとつひとつの工程も最高水準を目指しています」と間宮さん。

例えば、旬の時期に獲れて冷凍保存しておいた魚を解凍する際は、ムラなく解凍することで魚のうまみや栄養素を逃がさない「ミスト解凍」を採用。さばいた魚を塩水に漬ける工程では、一般的な作り方よりも時間をかけて漬け込むことで魚の余分な水分を取り、うまみを引き出します。その後、干物ならではの表面のパリっと食感を出すために低温で除湿しながら乾燥・熟成(ドライエイジング)させるなど、魚のおいしさを最大限引き立てる技で最高の干物を作り出します。

干物にする魚は、魚種の特徴や魚の個体差を考慮しながら職人が一匹ずつ手でさばいています。

干物にする魚は、魚種の特徴や魚の個体差を考慮しながら職人が一匹ずつ手でさばいています。

 

こだわりの製法でさらにおいしくなる金華サバ

金華サバ

こうして製造された干物は、「間宮塩蔵」というオリジナルブランド商品として販売されています。その中でも人気なのは、世界三大漁場の一つである三陸・金華山沖で漁獲される「金華サバ」を使った商品です。

「スーパーなどでよく手に入るノルウェー産のサバは中トロのように全体に脂がのっていることが多いのですが、金華サバは腹と皮目に口当たりのよい脂がしっかりとのっていて、うまみが詰まった筋肉質な身とのバランスが良くさらっと食べられます」と、金華サバの魅力を語る間宮さん。

乾燥させる前の金華サバ。ふっくらした身と脂のりの良さが見た目からもわかります。

乾燥させる前の金華サバ。ふっくらした身と脂のりの良さが見た目からもわかります。

さらに、「サバは生の状態から焼くと水分が出やすい魚です。それを干物にすることで身が引き締まり、うまみも凝縮します。干物は‟昔ながらの保存食”と思っている方が多いですが、私たちは“魚をよりおいしく仕上げるための技法”として捉え、商品づくりを行っているんです。」と教えてくださいました。

 

干物で目指す、魚食文化の活性化

間宮商店_直営店

間宮商店の干物は自社ECサイトのほか、本社工場に併設する直売所などで購入することができます。
直売所は地元客や観光客が集まる「塩釜水産物仲卸市場」のすぐ隣に位置しているため、市場に来た際に立ち寄ってくれるお客様も多いんだとか。さらに直売所では、自社の干物を具材にした手づくりおにぎり「うみおむすび」の販売も行っており、休日になると400個が即完売してしまうほどの人気。最近では、塩釜水産物仲卸市場内に干物を定食形式で提供する「羽釜ごはんでたべる間宮商店食堂部」をオープンさせ、たくさんの人に魚を食べてもらうための取り組みにもチャレンジしています。

間宮さんは、「新鮮な魚がたくさん獲れるからこそ三陸では刺身や海鮮丼など生食が主流ですが、生ものが苦手な方や健康的な食事を続けたい方には干物がおすすめ。食堂部では魚のおいしい食べ方も合わせて提案しています。金華サバだけでなくいろいろな魚が食べられますのでぜひ足を運んでいただきたいです」と意気込みます。

 

\金華サバの干物を購入する/

間宮商店_オンラインショップ

 

 

100年続く魚屋。「常磐もの」の魚のおいしさを伝えたい。-いわき・おのざき

おのざき

1923年から100年続く株式会社おのざき
長い歴史の中で代々引き継ぎ積み重ねてきた「経験」「知識」「技術」を基に、“常磐もの”のおいしさを守り多くの人に広めるために、鮮魚の販売・水産加工品の企画・販売などを通じて様々な挑戦を行っています。

 

『常磐もの』とは
福島県で水揚げされる魚介類や、伝統的な製法と工夫によって作られる水産加工物のことを、福島では“常磐もの”と呼んでいます。 水産物の取り扱い世界最大級の築地市場で水産関係者におこなった調査(※)では、99%が「常磐ものはおいしい」と回答。高い品質と味わいを誇る、プロが認める水産資源です。(※)電通「平成27年水産関係者調査」より 。
いわきの水産物を“常磐もの”と命名することで、品質と鮮度への責任と、たゆまぬ努力をこれまで以上に自らに課す。「魚のプロの認めるおいしさ」を守り、さらに高めていく努力を続けています。

常磐もの

 

今回machico編集部がお話を聞いたのは、3代目社長の小野崎幸雄さん。 東北の食文化、魚の文化を守るために、4代目の小野崎雄一さんを中心に、新しいことにどんどん挑戦しています。

東日本大震災後、一時はいわきで魚を獲ることができませんでした。その時に初めて、「いわきの魚っておいしかったんだ。おいしい魚を食べられることは当たり前じゃなかったんだ。」と気づかされたそう。 「福島の水産業は、一度は震災により海の環境を深く傷つけられたからこそ、資源を大切にしながら持続可能な循環型の水産業に率先して取り組む使命がある」と小野崎さん。そんな想いを胸に、特にいま注力しているのは新商品開発です。

おのざき3代目社長

 

捨てられていた魚のアラを活用した商品開発

おのざきでは鮮魚の加工・販売の過程で月250tもの魚の「アラ」を廃棄していました。しかし魚のアラには栄養価がたくさん詰まっており、まだまだおいしく食べることができます。

そこで、捨てられてきた魚のアラを活用して新しい価値を生むために商品開発を行い、試行錯誤の末できた商品が『金曜日の煮凝り』です。 『煮凝り(にこごり)』とは煮魚の煮汁が冷めて固まったもので、魚のうまみがたっぷりと凝縮されており、栄養価が非常に高い食べ物です。 複数種の魚のアラを使ってしまうと味がまちまちになってしまい、最終的に1種類の魚のアラを使うことで商品化へと漕ぎつけました。 商品はひらめ、あなご、あんこうの3種類。すべて福島県産の品質が高い“常磐もの”です。

金曜日の煮凝り

『金曜日の煮凝り』。常磐ものをゴロッと閉じ込めた新感覚ジュレです。

「金曜日の煮凝り」開発秘話はこちら

 

「魚食文化を継承する・活性化する」という使命感

そのほかにも、常磐もののひらめを使用した「さかなは土台(ど~だい?)パクパク離乳食」を開発。4代目女将の小野崎永理さんは、働きながら子育てをする上で得られた経験から、「困っているパパ・ママの助けになりたい」「魚食文化を次の世代に繋ぎたいという思い」があり、離乳食を開発しました。

さかなは土台(ど~だい?)パクパク離乳食

おのざきの商品は自社ECサイトのほか、福島県いわき市の鮮魚店4店舗で購入することができます。

おのざきの旗艦店である「鮮場やっちゃば 平店」を大規模改装するリモデルプロジェクトも進行中です。プロが認めるふくしまの水産物“常磐もの”を全力訴求する、『地域密着の体験型鮮魚店』へと生まれ変わらせる構想だそうで、“常磐もの“の対面販売コーナー、お昼に行列ができる潮目食堂の増床などなど、とてもわくわくするお話しでした。リニューアルオープンは2024年4月下旬の予定です。今からとても楽しみですね。

福島の誇りである"常磐もの"の価値を守りながら、さらに多くの人に食べてもらうためのアイデアを続々と実行するおのざきに、今後も注目です。

*店舗の大規模改修において、クラウドファンディングを実施中です。詳細はこちら

 

\おのざきECサイトはこちら/

おのざきECサイト

 

三陸・常磐もののどんなところに魅力を感じましたか?具体的に教えてください!

コメントを投稿してくれた方の中から抽選で、マチコイン100枚を5名様にプレゼント!
【応募締切】2024年3月25日(月)
【当選発表】メール送信をもって発表とかえさせていただきます。

GO TOP