食べることは、生きていく上では欠かせないこと。でも、災害が発生し、ライフラインや物流が止まってしまったとしたら…。そんな「いざという時」のために備えておきたいのが非常食です。
machico防災部は、これまでの活動の中で非常食に関してこんな考え方を発見しました。
どんな非常食が自分に適しているかを知っておくことはもちろん、いざという時に慌てないよう、非常食を食べ慣れておくことも大切です。
…とはいえ、何をどう備えれば良いのか、いつもどおりごはんが食べられる日常の中では想像しづらいのが現実。
machico会員の皆さんからもこんなコメントが集まりました。
というわけで、今回は日常生活でも美味しく食べられて、かつ、非常食としてもおすすめの商品を集めて、machico防災部で「防災ランチ会」を開催!実際に非常食を作って&食べてみました。
防災ランチ会のお品書きはこちら。
アルファ米とは炊いたご飯を急速乾燥させたもので、水またはお湯を入れるだけでご飯が食べられる優れもの。今回は、味もメーカーも異なる3種類を用意しました。
①白米(アイリスオーヤマ)
②イザメシ 五目ご飯(杉田エース)
③安心米 とうもろこしご飯(アルファー食品)
アルファ米は、水を入れて60分、お湯の場合は15分待てば完成!どのメーカーも、袋の中に水を入れる目安線があって分かりやすく、スプーン付きで調理する際にも食べる際にも便利です。
今回は、白米は水で、五目ご飯ととうもろこしご飯はお湯で戻してみました。はじめてのアルファ米、水を注ぐところからドキドキです。
こちらは水を入れた直後。ここから一定時間待ちます。
水で戻した白米は、香り・見た目は冷ごはんに近く、やや固さが残りました。味もお米の甘さが薄く感じられます。白米のアルファ米を食べるときは、ふりかけやカレーなど、何かと一緒に食べた方がおいしく食べられそうです。
紙皿にはラップを敷いて。非常時で水が使えなくても、ラップを使えば洗い物も出ないうえ衛生的!
お湯で戻したものは、少しパサつきがあるものの、味はバッチリ!炊き立てのごはんほどではありませんが、お湯で戻した方がふっくら感も香りも良いです。
アルファ米に合わせるのは、定番備蓄品「レトルト食品」。ごはんに合うレトルト食品と言えば、カレー!ということで、岩沼市のレトルト食品メーカー「にしき食品」の「NISHIKIYA KITCHEN」カレーを常温/湯せんでいただきます。
実は、レトルトカレーは常温でも食べられるんです。
ちなみに、今回の湯せんは、お鍋で熱湯を沸かし続けるのではなく、ポットで沸かしたお湯をお鍋に移し、火にかけずそのままレトルトパウチを15分ほど入れる方法。お湯の温度はキープできませんが、ガスは節約できますよ!
味は、「常温でもおいしい!」とスタッフさんがおすすめしてくれたこちらの3種類!
左から、『鶏とごぼうのカレー』『ラタトゥイユカレー』『こどもカレー』
お湯で作った アルファ米 五目ご飯 × 湯せんした『鶏とごぼうのカレー』(写真左上)
そね丸「アルファ米のぼそぼそ感を、カレーのおいしさがカバーしてくれました。カレーはお湯でほんのり温めただけでしたが、しっかりおいしかったです。鶏肉とごぼうがゴロゴロでお肉も野菜もとることができて、ボリュームもたっぷり!「非常食」のイメージとはかけ離れた、おいしいお昼を堪能できました。」
お湯で作った アルファ米 とうもろこしご飯 × 常温の『こどもカレー』(写真中央)
ぷりぱん「子ども用とはいいながら、ちゃんと野菜の甘味やうまみが感じられて、大人もしっかり満足感を得られるおいしさでした。とうもろこしごはんと合わせると、見た目はよりおしゃれに、味はより贅沢感が増して、非常食とは思えないクオリティ!
7大アレルゲン、化学調味料、肉・肉由来原料はすべて不使用なので、みんなが安心して食べられるカレーです。」
常温の水で作った アルファ米 白米 × 常温の『ラタトゥイユカレー』(写真右上)
ちゃそ「常温で食べても脂っぽさはなくなめらか。カレー効果でアルファ米もおいしく食べられました。生鮮食品が食べられないと、野菜を食べる機会が減ってしまいそうですが、これなら野菜もたっぷり取れて、栄養価の面でもうれしいですね。煮込んでいることでどの野菜も柔らかいので、あまり噛めない方にもおすすめです!」
「非常食」というよりは、キャンプごはん気分で楽しい!
続いて、災害時だけでなく、体調を崩したときのためにも常備したい「味の素KKおかゆ」。パッケージにも「常温も食べられる/非常時にも」との記載を発見!これは期待大です。
「白がゆ」と「梅がゆ」を常温で、「紅鮭がゆ」を湯せんしていただきます。
紅鮭がゆにはまんべんなく鮭が入っています!
アルファ米とは異なり、封を開けるだけですぐに食べられてお手軽!
まずは梅がゆを実食。常温でもあっさりさらっとおいしく食べられました。梅の味だけでなく適度な塩気が付いていて、調味料を別で用意する必要がないのもうれしいポイント。
梅がゆにはゴロっと一粒梅干しが!梅干しが当たったのはぷりぱん。
続いて湯せんした紅鮭がゆ。お皿に移すときに鮭の香りがふわっと香り、食欲が刺激されます。温めた方が、塩気が馴染んでさらに食べやすくなりました。温かいだけでこんなにおいしさが違うのはどうしてだろう…。
災害時疲れやストレスで食欲がないときでも食べやすいおかゆは、大人だけでなく高齢者や小さな子どもの非常食にも最適ですね。
3品目は、お馴染みの備蓄品・カップラーメン!
こちらはお湯なら3分のところを、水で60分かけて戻してみました。水の量はお湯のときと変わらず、カップの中の線まで。
麵の硬さはお湯で戻したときと同じ!ぼそぼそ感や麺が硬い感じはありませんでした。
スープもしっかり溶けていて、具材の柔らかさもお湯で戻したときとほとんど変わりありません。いつものカップラーメンがおいしさはそのまま、冷たくなったような感覚。
冷やしラーメン的に食べられて夏場にはピッタリ!その分、冬場には食べるのがつらいかもしれません…。
麺の太さや油分の多さなど、商品によって水で戻すのに適しているかどうかは分かれそうです。食べ比べて、自分の好みに合う商品を備蓄することをおすすめします!
なお、警視庁防災対策課のTwitterによると、15分でも食べられるものの、少し麺に硬さが残るとのこと。1時間も待っていられない!という方は15分で試してみてくださいね。
元々は医療用の栄養食品として生まれた「メイバランス」。
これひとつでいろいろな栄養素とエネルギーを補給できます。タンパク質や食物繊維も摂れるということで、生鮮食品が手に入らなくなったときにも強い味方になってくれそう!
フレーバーも甘いものが多いメイバランス。今回は食後のデザートとしていただきます。
ミルクテイスト バナナ味
そね丸「バナナ味はいちばん人気の味なだけあって、栄養食品とは思えないほどおいしかったです!固形のものが食べづらい時はこういった液体があると助かるなと思いました。」
ヨーグルトテイスト いちごヨーグルト味
ぷりぱん「いちごヨーグルトの味が再現されていて、みんなが好きな味だと思います! ごくごく飲めちゃいますね!」
ミルクテイスト コーンスープ味(唯一のしょっぱい系!)
ちゃそ「とうもろこし感よりもクリーミー感が強めのコーンスープ、といった感じでしょうか。程よい塩気と自然な甘さがおいしくて驚きました!」
非常時は食欲が湧かないこともあるかもしれませんが、そんな時でも、飲むだけでたくさんの栄養素とご飯一膳分のカロリーが取れるのが魅力的です。
そして、明治さんからはこんな商品も発売されています。
非常時に栄養が必要なのは、赤ちゃんも一緒。「明治 ほほえみ らくらくミルク」は封を開けるだけのミルクで、非常時はもちろん、普段から育児をサポートしてくれる強い味方です。
そね丸「これは非常時にあるとすごく助かりますね!赤ちゃんのミルクを用意するとき、お湯を沸かしてミルク作って飲ませて、哺乳瓶を洗って除菌して…必要なものもやることもすごく多いので、そんな手間をかけられない状況の時に、お母さんの負担を減らして赤ちゃんのお腹をちゃんと満たしてあげられる、すばらしい発明だと思います。」
アルファ米や栄養機能食品だけでなく、常温のレトルトカレーや水で戻したカップラーメンも、「初めて」というだけで最初の一口は緊張しました。実際に食べても、慣れない味にあまり食が進まない場合があるのが正直なところ。
ただでさえ、災害時は気持ちが不安定になるもの。そんな状況下での食事は、栄養補給の機会でもあり、ほっとした気持ちになる機会でもあります。そこで慣れない食べ物や食べ方に直面すると、気持ちがさらに落ちてしまうかもしれません。
そういった意味でも、食べ慣れておくこと、馴染みのある食べ物を備えておくことが大切だと実感しました。
仙台市では、家庭で備蓄する食料品や飲料水の目安量として、一週間分を備蓄することを推奨しています。
一般的には3日分備蓄しておけば大丈夫だとも言われていますが、東日本大震災の際に「2、3日経っても思うように食料が手に入らなかった…」という経験をした方も多いのではないでしょうか?
ちなみに、4人家族(大人2人、子ども2人)の1週間分の備蓄品の参考例がこちら。並べてみるとその量に驚きますが、4人分×1日3食×一週間だと考えれば納得です。
(引用:仙台市危機管理局減災推進課HP 家族4人分の一週間分の食料)
そして、備蓄品にありがちなのが「いつの間にか賞味期限・保管期限が切れていた!」ということ。もしこれだけの量を備蓄していても、賞味期限が切れていて食べられなかったらもったいない…!
賞味期限切れを防ぐ&食べ慣れるためにおすすめなのが、「ローリングストック法」です。
ローリングストック法とは、普段から食べている食材を、定期的に消費しながら、その分新しく買い足していくことで、常に一定の食料を備蓄する方法です。
定期的に食べることで食材に慣れ、非常時でもストレスなく食事ができるだけでなく、買い足すことが防災や備蓄を意識する機会にもなります。
レトルトカレーやおかゆ、カップラーメンは、普段の食事でも食べられるので、食べながら常に切らさないように備えておくことをおすすめします!
今回、お湯を使った方がおいしい食品が多いことも分かりました。
お湯を沸かすにはカセットコンロが必須!カセットボンベもローリングストックできるもののひとつです。カセットコンロ&ボンベを使う練習として、年に何度かお鍋を食べると良いんだとか。
いろいろな発見があった防災ランチ会。何より感じたのは、「非常時になる前に食べてみて良かった!」ということでした。百聞は一見に如かず!みなさんも実際に食べてみて、備蓄品を見直してはいかがでしょうか?
\ごちそうさまでした!/
今回machico防災部が実食した商品の中から、「NISHIKIYA KITCHEN」のカレー3個セットを10名様に、「味の素KKおかゆ」3個セットを3名様にそれぞれプレゼント。
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【応募に関する注意事項】
ローリングストックをはじめてみよう(2021年10月中旬公開予定)
非常食を実際に食べたことで、あらためて食の備えの大切さを知ったmachico防災部。そして、非常食について調べるうちに、ローリングストックの奥深さにも気付きました。ローリングストックに適した食品はまだまだある様子。
ということで、次回は「ローリングストック」をさらに深掘り!一週間を乗り切るための、さらなる非常食の工夫をお伝えします。
「machico防災部」の活動は、せんだいタウン情報machicoが
震災10年目を機にスタートさせた「つながるプロジェクト」の一環です。