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2019年06月27日
DoFree!Vol.168~本間ちゃんのここだけの話~『最先端技術の可能性』
DoFree!~本間ちゃんのここだけの話~

 

今年の2月に東日本放送ナマイキテレビのロケで淡路〜四国方面を旅して来た事は以前もお伝えしましたね(^^)d
その時のコラムの中で徳島県鳴門市にある大塚国際美術館に行って来た事も紹介しましたが…おさらいでもう一回(笑)
大塚国際美術館っていうのは紅白歌合戦で米津玄師が生中継で歌ったシスティーナ・ホールのあるあの場所です。
陶器を作る技術を最大限活用して世界中の名画を再現し展示するという試みが実を結び、また米津玄師効果も相まって今や徳島県観光…いや四国観光には無くてはならないスポットになっています。
モナリザを始め、最後の晩餐(修復前・修復後)、真珠の耳飾りの少女、ゲルニカ、叫び、名作フランダースの犬でお馴染みのキリスト昇架など

写真01

1000点以上の西洋名画が原寸大で再現されていて見ごたえがあるのはもちろん2000年以上色褪せない特殊技術で再現されているので

写真02

ご覧の様にスマホやカメラでの撮影がOKなので所謂インスタ映えする事から沢山の人が訪れる観光スポットになっているのでは?と思います。

 

で今回の本題は多賀城市の東北歴史博物館で6月23日まで開催されていた「東京芸術大学スーパークローン文化財展」の話。
大塚国際美術館は絵画の陶板印刷でしたが…こちらは
①3Dスキャナを使って仏像などの高精度な3Dデータを作り
②3Dデータを3Dプリンタで出力し樹脂製原型を作り
③樹脂型からロウ型を作り
④ロウ型に耐火性の砂のようなものを重ねていき加熱してロウを抜き鋳型を作り
⑤鋳型に溶かしたブロンズを流し入れ
⑥冷えたら鋳型を割りブロンズの仏像を取り出しヤスリなどで仕上げ着色や装飾をして出来上がり!

…という再現方法。
特別展の会場に入って最初に出迎えて下さった(だって国宝スから)のは「法隆寺の釈迦三尊像」

写真03

火災によって消失した金堂壁画も再現され…さらに読経の効果音と高貴なお香も漂い演出効果抜群!実物は見たこと無いけど法隆寺を体現出来るクオリティ。
その他、保存のため一般公開が困難になった敦煌莫高窟第57窟や、2001年にタリバンによって爆破されたバーミヤン東大仏天井壁画などが多賀城の地に見事に再現されていました。

写真04

写真05

このスーパークローン技術の凄いところは現存してなくても当時の図面や細かい寸法、彩飾などが分かる資料があれば再現できるらしく…大火や戦乱で失った国宝級の文化財が今後どんどん生まれて来る事を考えるとワクワクします!

 

 

今回、スーパークローン文化財展の図録を買って学んだのは…例えば敦煌莫高窟第57窟がなぜ一般公開を控えるようになったのかその経緯が「1日に何百人と洞窟内に見学者が来ることにより呼吸によって吐き出された二酸化炭素が窟内に溜まり色彩などの劣化に歯止めが効かなくなったため」だとか…
保存だけを尊重すれば誰の目にもふれず誰にも感動をもたらさず隠されたままになり…公開を優先すると劣化や損傷のリスクを負うことになり、この公開と保存のジレンマが文化財の永遠の課題だといわれています。この課題を解消するかも知れない陶板絵画やスーパークローン文化財はこれからの美術館や博物館に新たな道を示す技術なのかも知れませんね。

 

文:本間秋彦
イラスト:あきばさやか ( https://akibasayaka.com/ )

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