
仙台市内で13店舗のビジネスホテル事業を展開する松月産業株式会社の代表取締役の田所寛章さんは、人事評価制度のアップデートについて、常日頃から課題を感じていたと言います。第三者の視点も取り入れながら、適正な評価制度を作りたいとの思いから、本事業に参加されました。その成果について、田所寛章社長とプロジェクトメンバーの一人である人事総務部の熊谷達也さんに伺いました。


●人事評価制度をアップデートし、「なぜこの給与額なのか」に答えたい
●第三者の視点を取り入れ「適正」な評価基準を思案
●疑問を解決しながら着実に前進。自走に向けたアドバイスも
●スペシャリストが活躍するホテルを目指す
田所社長 課題は多くあった中で、常日頃特に考えていたのが人事評価制度のアップデートでした。社内でも進めていたものの、外部の力を借りることでスムーズに進められるのではないかと思ったことが参加の理由です。上層部や人事部だけの問題ではなく、現場で働く従業員にとっても、自分がどう評価されているのか、どのような目標に向かって仕事をすればいいのかがわからない状況は良くないですよね。社内に居ては見えないことを、外部のプロの目で見ていただける非常に貴重な機会だと思ったので、運用している評価制度が最適なのか、しっかり定まってはいるけれどうまく伝わっていないだけなのか、そういったところから見返したいと考えました。
熊谷さん 私自身、雑談で得られる情報を大切にしているので、普段から現場を回ってスタッフとコミュニケーションを取っているのですが、ふとした会話の中でも、昇給について「なぜこの金額になったんですか」「去年と今年の差額はどういう理由ですか」と聞かれることが多かったんです。そのたびに、昇給の判断基準を、誰にとっても分かりやすく伝えられる状態には、まだ改善の余地があると感じたため、突き詰めた評価基準を作りたいと考えていました。納得できる評価があることで、仕事に対するモチベーションが変わります。評価制度を運用する現場のためにも、しっかりしたものにしたかったんです。

田所社長 伴走支援の場で、私たちから質問を投げかけて、さまざまな例を交えた回答をいただき、基準となる人事評価表を一緒に考えました。個人のスキルは経験とともに変化するものなので、それを客観的な指標で評価できるスキルマップも整理し、従業員に納得感を持ってもらえる評価表にするのが目標でした。私が理想とする評価制度が、今の働き方や考え方に合っているのかも含めて意見をいただき、現場にフィットしたものを作成しました。評価制度は教育制度と密接に関わっているので、どちらも同じ速度で進めていきましたね。
田所社長 一言では難しいのですが、基本的には、適正な評価をして、適正な給与を払いたいというシンプルな考えです。その「適正」を求めてアドバイスをいただきました。年功序列というよりも、一年間しっかりと働いてくれた人に、その人が持つスキルの対価として給料を支払いたいという気持ちが強いので、評価の観点を明確にし、納得感のある形で可視化したかったんです。私自身は、社員もパートもアルバイトも、業務に応じて同じ評価制度にしたいと思っていますが、社内には肩書に対するバイアスがかかっている人も少なくないので、私の考えをどう落とし込み、どう伝えれば、同じ考えを持って現場で評価してもらえるかが重要になります。そこも今回一緒に考えていただきましたし、ライフステージによっても働き方が変わるので、その点も想定した上での評価表です。

田所社長 打合せに参加したメンバーは4~5名ですが、実際に評価や面接を行う支配人側の教育も必要なので、裏で動いているメンバーを入れると40人くらいの規模となりました。スキルマップを教育や評価につなげて給料にまで結びつける伴走支援が終わった後の運用フェーズこそが本番なので、現場の管理者、教育係、人事、さらに総務や財務まで関わってもらいました。
田所社長 私たちが疑問に思っていることを、その場でディスカッションしながら進めていけたことです。話をする中で次々と出る新たな疑問に対して、その都度、事例を交えながら解説してくださいました。本当に伴走をしていただいている感覚がありましたし、柔軟な対応がありがたかったです。改革を成し遂げるには、トライアンドエラーを繰り返して進めることが基本だと思っています。毎回、疑問を丁寧に解決してから進めたので、後戻りがなく着実にゴールに向かっている感じがしました。
熊谷さん 決まりきったものではなく、疑問の解決を最優先にオーダーメイド感覚で伴走していただき、本当に助かりました。教育や評価制度については、定着までに2年くらいかかることを前提としているので、伴走支援の終了後、しっかり自走できるようにするためにも、細かな疑問点の解消はとても重要だったと感じます。

熊谷さん 伴走支援のおかげで評価制度は完成しましたが、作った仕組みや考え方をどう現場に落とし込むかが、一番大きな壁だと感じています。店舗によって支配人のタイプが違うので、同じ資料を提示しても受け取り方や従業員への伝え方が違ってしまうんです。浸透の質やスピードにも差が出ます。評価制度の意図をしっかり伝えることが今後の課題です。
田所社長 運用のために教科書的なものを作ることはそれほど難しくありませんが、それを現場に浸透させることの苦労は普段から感じています。伴走支援で相談させていただいたことをもとに、運用しながら対応していきたいと思います。
熊谷さん 今は、個人目標を立てて振り返るという工程を、支配人も含めてトレーニングしている最中です。時間はかかってもこの壁は乗り越えたいですね。
田所社長 常々疑問に思っていたことが解決して、回を重ねるたびに自分の中でまとまっていなかった部分が明確に整理できました。社内の常識を客観的に見ていただき、アドバイスをもらえたので、毎回発見がありましたね。
熊谷さん プロジェクトの先生との対話もそうですが、社長や人事部長から会社としての考えを改めて聞くことができ、私自身とても勉強になりました。最近は1on1面談に同席する機会も多いのですが、この事業で再確認したことをスタッフにも伝えるように意識しています。面談自体がこれまで以上に意味のある時間になっています。

田所社長 私が常々言っているのが、「自動化・標準化・品質強化」です。人が行う必要のない仕事はすべて自動化して、標準化することで特定の人がいないと仕事が進まない状況をなくしたいです。それができれば効率化が進みますし、そこで余ったリソースをスペシャリストの育成につなげ、品質を強化したいと考えています。 ビジネスホテルは社会インフラに近い存在だと考えています。我々のビジネスの発展には仙台の発展が不可欠なので、一緒に地域を盛り上げていきたいですね。


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