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2026年03月27日
営業以外の「頑張り」をどう評価する?対話と可視化で実現した、納得できる評価制度の構築|鈴屋金物株式会社

【《仙台市》多様で働きがいのあるジョブ・デザイン推進事業】記事を読んでの感想や、記事に掲載している企業への励ましの声を募集中!

令和8年で創業77年、前身の商いから107年を迎える「鈴屋金物株式会社」。仙台で暮らす人々の住環境を創造し、支え続けてきた企業です。代表取締役の鈴木大輔さんは、社員の労働環境やキャリアについて課題を抱いていたところ、伴走支援を受けたことで、各部署のキャリアパスの明示や社内評価制度の構築に社員を巻き込みながら取り組み、社員の働き方やコミュニケーションに大きな変化をもたらしたといいます。その過程について、専務取締役 統括本部長の庄子剛さん、経理事務部の飯田利子さん、ロジスティクス部の渡邉中さん、設計部リネットデザイン部の高橋さおりさんとともにお話を伺いました。
 

鈴屋金物のJOB DESIGN
鈴屋金物のJOB DESIGN

数字で見えない努力を明確にするために踏み出した一歩

-「多様で働きがいのあるジョブ・デザイン推進事業」に参加しようと思ったきっかけを教えてください。

 鈴木さん  私は4年前に社長に就任しましたが、弊社には今まで社内評価制度がない上に「キャリアパス」という言葉の意味すらよく分かっておらず、社員の労働環境ややりがいについて常に漠然とした課題感を抱き続けてきました。その中でも、最近は若い社員が将来を見据えて働けるような明確な方向性が必要ではないかと感じていたタイミングで、仙台市からこの事業についてのお話をいただきました。会社としての課題を明確にする良い機会でしたし、「ありがたい」という思いで参加を決めました。

鈴木さん

 

-この事業に参加する前、社員の皆さんは自社の働きがいや職場環境についてどのように感じていたのでしょうか。

 高橋さん  営業職のように数字で成果が見えやすい部署に比べて、それ以外の部署はどうしても評価が分かりにくいという社員の声をよく耳にしていました。私自身も「どう頑張ればいいのか」を言語化できていない自覚がありました。

 渡邉さん  今話が出たように、弊社には決まった評価マニュアルがありませんでした。ある程度自分で考えて業務を推進できる楽しさはありましたが、組織の仕組みとしては改めて考える余地があったと思います。

 庄子さん  モチベーションの観点で言えば、やはり営業職は数字によって給与が上がるという明確な目標がある一方で、その他の部署については評価の基準がなく、いわゆる「見える化」がされていませんでした。自主性に任せている部分は多く、それが働きやすさにつながっている側面もありましたが、業務の頑張りに対して得られるものの基準が曖昧だったのは事実だと思います。

庄子さん

社員の声が、会社を刷新する原動力になる

-職場環境の改革を進める上で、難しさはありましたか。

 鈴木さん  難しさより、ありがたさを感じることの方が多いです。かつて当社は営業が主役という考えが強く、他部署との連携がほとんどありませんでした。しかし、事業の参加をきっかけにコミュニケーションの場を増やしたことで、部署や年齢に関係なく「もっとこうしたい」という社員たちの思いがたくさん見えてきたのです。私が見えていなかった部分を、社員たちが教えてくれた。これは非常に大きな変化で、とてもありがたいことでした。

コミュニケーションの場

 

-具体的にどのような場を設けて、社内の意思疎通を図ったのでしょうか。

 高橋さん  毎週月曜日の朝に行っている、「プラスワントーク」というミーティングです。5、6人の社員をランダムに選抜して行っています。最初は「会社をどうしたいか」と聞かれても戸惑うこともありましたが、具体的な困りごとを話し合ってみると、自分だけが大変ではないと気づいたり、他部署の業務を知ることでサポートしやすくなったりと帰属意識が強まるきっかけになりました。

 渡邉さん  会議だとどうしても本音を隠してしまいがちです。議題に挙げづらい話題もあるなかで、それをどうやって話し合えるか。その調整は難しかったですね。そこで「悪口は言わない」「守秘義務を徹底する」というルールを設けたのに加え、“会社をよくするためにこんなやり方に変えてみるのはどう?”と議論を展開させることを決め、安心して本音を出せる環境を整えていきました。

 飯田さん  吸い上げた意見を「聞きっぱなし」にしないことも大切にしましたね。せっかく話してくれたのに、その後どうなったのか分からないと社員は不信感を抱いてしまいますから。

飯田さん

 

 高橋さん  そのため、毎月1、2回行う朝の会でこれまで出された議題をメンバー内でしっかり確認して、すぐに変えられるものは早急に対応していきました。例えば、応接室のダブルブッキングを防ぐために打ち合わせのスケジュールが表示されるモニターを設置するなど、小さな改善から目に見える形での実践を重ねています。声を上げると、よりよい職場環境につながる。そうしたプロセスが、今後さらにたくさんの成果となって表れてくると思います。

高橋さん

 

 鈴木さん  社員同士で本音を話しやすくなったのに加えて、私自身の視野が広がりました。社長はどうしても上から会社を俯瞰して見るため、距離が遠い1、2年目の若い社員の視点まではまったくわかりませんでした。それが今では、若手社員たちが何に困っているのかがようやく視界に入るようになってきました。意識が向くようになってきたんでしょうね。

業務の可視化と目標設定で、誰もが納得できる評価制度の実現へ

―特に課題となっていた「評価制度」については、どのように構築されたのですか。

 鈴木さん  弊社は、「営業」「リネット」「設計」「ロジスティクス」「経理」の5部署に分かれています。数字で評価できない事務職や配送職のために、まず行ったのが業務の可視化です。すべての業務を洗い出してそれを社員の年数や等級ごとに振り分け、評価制度構築の基盤にしました。業務の可視化は伴走支援を受けながら行い、評価制度の運用開始は令和8年10月の新しい期に入ったタイミングを目指しているところです。

評価制度

 

 飯田さん  伴走支援の力を借りて作成した評価基準シートでは、「入社1年目ではここまで業務ができるようになってほしい」「3年目ならこのレベルを目指そう」という目標が明確になっています。入社して5年たっても10年たってもどこを目指せばいいか分からなかった社員たちにとって、目指すべきものができたことは大きな変化です。

 渡邉さん  これまではどうしても感覚的な評価が含まれていました。今後は評価基準シートに基づいて、どの部署に所属する社員でも納得できる評価が可能になるはずです。

渡邉さん

 

―こうした変化は、組織全体にどのような影響を与えていますか。

 庄子さん  以前は1時間もかけて一方的に話を聞くだけの朝礼を行っていました。それを月・金曜日はミーティング形式にし、水曜日は年代別や部署別で実施。リーダーや司会進行も交代制にしました。その結果、社員同士で耳を傾ける姿勢が生まれただけでなく、社員が持ち回りで司会をすることで考える力や主体性が格段に上がったようです。個として業務に取り組むよりも、チームという意識が強まったと感じます。

庄子さん

 

 鈴木さん  当社では長年、女性の活躍の場を実現することが目標でした。建設業界において女性が活躍するためにはキャリアの道筋をつくることが必要です。そんな中で働きやすさや明確な評価基準を設けるための支援をいただいたことで、女性が活躍する職場の理想像に近づくことができました。

大切な人材が居心地よく働ける会社づくりを

―事業への参加を経て、現在は新たな会社の理想像が見えてきたかと思います。今後はどんな組織にしていきたいですか?

 渡邉さん  建設業界は今、人材確保に必死です。しかし、せっかく入社してくれた人がすぐに辞めては意味がありません。このプロジェクトで作り上げた、誰もが居心地良く納得して働ける仕掛けを定着させることがこれからの課題だと思っています。

 

―仙台の地に長く根ざした企業として、これからの展望をお聞かせください。

 庄子さん  住環境の整備を生業としている私たちは、東日本大震災を経験し、当たり前に暖かい部屋で寝られることの大切さを痛感しました。だからこそ、仙台で住まいに困っている方がどの企業に依頼をすればいいか分からないと悩んだとき、真っ先に思い出してもらえる会社でありたいです。建設業界は大変だというイメージがあるかもしれませんが、自分たちが携わったものが何十年も形に残る素晴らしい仕事です。今回の事業で得たヒントを活かし、若い人たちがこの業界、この会社で働くと楽しいと思えるような環境をこれからも作り続けていきたいです。

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