せんだいタウン情報 マチコ

2020年03月02日
TALK Vol.12 ジェーン・スーさん
-各界で活躍されている方にインタビュー。すてきに生きるヒミツを探ります。

『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』
『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』
『私がオバさんになったよ』『女に生まれてモヤってる!』
著書のタイトルを読むだけで、ん?!と同士は心をつかまれているはず。
自身が日々感じる日常の気づきから、現代女性の生き方について考え綴った数々のコラムは、同世代の女性を中心とした多くの読者の共感を呼んでいます。
作詞家、コラムニスト、そしてTBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』ではパーソナリティーを務めるジェーン・スーさん。今回machicoは、ラジオ番組のイベントをきっかけに来仙されたスーさんを直撃しました。折しも最新著書『これでもいいのだ』(中央公論新社)が出版されたばかり。machico編集部のお悩み相談にも似たインタビューで、魅力に迫ります。

 

正解がひとつの時代ではなくなってきた

最新著書のタイトル『これでもいいのだ』という言葉は、おおらかな自己肯定だと受け取れるのですが、なかなかその域にいくのは難しいように感じます。どうしたら自分を肯定したり、おおらかに受け入れたりできるようになれるのかについて、まずはおうかがいしました。

「変わりばえのしない毎日の中で普通に生きていて、突然自分のことを肯定できるようになることはなかなかないと思いますし、私もだましだましではあります。ただ『これでもいいのだ』というタイトルを出したときに考えたのは、正解がひとつの時代ではなくなってきたということ。
昔は“これでもいい”は妥協だったじゃないですか。“これがいい”じゃなくて、まあこっちでもいいやっていう、いちばん望んだチョイスではなかった。けれど最近はちょっと時代が変わってきて、かつてのように正解がひとつあって、それ以外は妥協してオッケーではなく、どれもが正解のひとつなんだという意味で、ポジティブに“これでもいいのだ”と捉えられるようになってきたと思うんですよ。多様性ですよね。だから“これでもいいのだ”という気持ちが第二希望を指しているのではない世の中にもっと変わっていけば、必然的に自分で自分を受け入れる感覚も変わっていくと思います。社会の枠を無視したり、または自分を既存の正解の中にどうにかはめてOKを出すのは多分無理なので、社会の枠の捉え方自体を自分で変えたり広げたり、これがOKだったら私もOKだっていう風に変わった方が楽なんじゃないかなと思います」


『これでもいいのだ』中央公論新社 https://www.chuko.co.jp/special/janesu/

 

ご著書『これでもいいのだ』の中にも、海外で活躍するふくよかな人気の女性モデルに注目して書かれた「私だってモデルサイズ」という章がありますが、まさに社会の枠の捉え方を変えるわかりやすい例だなと思いました。
そんな風に、スーさんはいつでも、自分がひっかかるポイントを深堀りしていって、独自の結論にたどり着いているように思うのですが。

「そうですね。ひとりっ子はひまなので、幼いころからそんな風でした。でも一人で考え尽くして結論にバーンと至るわけではなく、友だちと話している時に、あ、そっかとか、なるほど”ユリイカ!”っていうタイミングがあって、それがすっごい快感で楽しかったんですよ。しかも安上がりだし、これはいいと思って夢中になって。自分が考えたことを友だちと意見交換すると、だいたい私に偏見があるので、そこを直していくっていう。でも先に自分の考えをある程度腹に落としてから話さないと、相手の言うことに流されるだけになると思いますけれど」

 

明確な答えのない問答を、友だちとあーだこーだおしゃべりするのは、確かに楽しいですよね。

「そうです。それが人として、脳を持って生まれてきたものとしての特権というかいいところだし、そこはフルに活用していった方がいいんじゃないかな」

 

悩み事は書いたりして、とにかく外に出す

スーさんがMCを務めるラジオ番組『ジェーン・スー生活は踊る』。数々の生活情報をお届けするこちらの番組では、お昼の12時を過ぎたころにお悩み解消コーナー「相談は踊る」が始まります。スーさんが番組パートナーのアナウンサーと回答してきたお悩みはなんと通算1,500件以上。
毎日寄せられる多種多様なお悩みに答える鮮やかなスーさん節に、うんうんとうなづいたりにやにや笑ってしまったり、時には涙してしまった方もいるのではないでしょうか(私)。そんな風に、十人十色、1500人1500色のお悩みに、次から次へと向き合ってきたことで、スーさんに変化はあったのでしょうか。

「変化というよりは、みなさんのお悩みに答えながらも、私もできていないなと気づくことはあります。その時に自分が抱えている欺瞞や弱さをえぐってくるような相談が、当たることがあるんですよ。私なりの考えを答えるけれど、じゃあ自分はできているのかと言われると、全部はできていないと思うことはあります。
自分自身の悩みは書き出したりしますね。外に出さないと客体化できないので。めんどうくさくて頭の中でもんもんと悩んでいるだけだと、解決するのはすごく難しいと思いますよ。それよりは紙に書くとか、タイプで打ち出すとか、打ち出したものを声に出して読むだけで、“これは私がわがままなだけじゃん”とか、“あ、これ一生懸命やっているつもりがだまされてた?”というようなことも見えると思う。人ぞれぞれ思考の癖も結構あるので、書き続けていくとそれも見えてくるようになります。
なぜラジオにメールでお悩みを送るのがいいかというと、自分のことをまったく知らない人に説明するという大前提があるからなんです。仲のいい人に話すと、都合のいいことしか言わなかったり、はぶいちゃったりすることもあるので。
でも、まずは人に頼らず自分で整理することが大切だと思います」

 

どうなると自分は本当に幸せ?自分の感覚に嘘をつかない

今までお話を聞いた中でも、独自の哲学をお持ちであることがわかってきたスーさん。
以前ラジオで「昨日より今日をよく生きることが張り合いになる」とおっしゃっていましたが、そのために、気を付けていること、指針にしていることはあるのでしょうか。

「どうなったら自分が幸せと感じるかについて鈍感にならない、ということですかね。たとえばたくさんお金があればいいとか、夫が毎日早く帰ってくればいいとか、子どもがいい学校に行けばいいとか、例えはいろいろありますけれど、それで本当に自分は幸せなのかな?ときちんと考える。もしかしたらさっき挙げた具体例は一般的な幸せのイメージというだけであって、自分の幸せは実はそうではないのかもしれない。ただ自分が大事にされていることがわかれば、内容は何でもいいのかもしれない。自分の一番の幸せは、自分が思っていたこととは全く違う可能性もあると思うんです」

 

はたから見た幸せと、自分が本当に感じる幸せには誤差がある可能性。言われてみて、はっとしました。人の目や評価を気にしてしまいがちですが、自分の評価に、何より耳を傾けないといけないですよね。
やりたい仕事ができることも、幸せのひとつのかたちだと思いますが、スーさんがこれからチャレンジしてみたいこともうかがいました。

「いま、私も私のまわりの人たちも、40代女性のファッションで路頭に迷っていると思うんです。40代の女性の定義が、われわれが20代30代のころとまったく変わってきているので、今の40代女性向けのファッション誌をつくりたいと思っています。これまでとは違う形の提案も盛り込んで。でも時間がなくて。チャレンジできるなら、自分の細胞分裂ですね。自分が3人くらいいたらやれることがいっぱいあるのになと思います。3人いたら今の仕事がもうちょっと丁寧にもできるし、新しいこともできるから」

 

書くことや、自分やまわりが知りたいことを突き詰め、コンテンツとして求める人に届けていくことが、やはりスーさんの進む道なんですね。しかし文章を書くお仕事でありながら、大人になるまで読書が苦手だったというスーさん。それにしてはすごいワードセンスやボキャブラリーをお持ちだと思うのですが、それは自然と身についてきたことなんですか?どうやって磨いてきたのでしょうか。

「スポーツとか何かがすごくよくできる人に、“どうやってやるの?”って聞いても、“よくわからない”って言われるじゃないですか。それと一緒なんですよ。自分ができることは、何でできるのか全然わからない。私はトリッキーな言葉をつくったりするのは確かに得意ですけれど、それは多分ものを知らないからでしかないと思います。それこそ文章を書いて提出すると、こんな熟語はないと直されることもあるし、基礎知識がないことで恥をかくこともたくさんありますよ。
みんなに、“それどうやってできるの?”と言われることは、実はあなたが得意なことなんですよ。本人は得意なことに無意識だと思うけれど。そんな時は、“こんなこと誰にでもできるよ”なんて言わないで、たぶん私はこれが得意なんだなと受け取った方がいいと思います。他の人とは違う何かがあるんだろうなって。
“すごい”と褒められたら、てへへってにこにこして終わるだけじゃなくて、それが自分の強みなんだということを自覚して、活用した方がいいと思いますね。仕事に生かすでもいいし、その能力を活用してみんなに承認してもらうでもいいし」

 

仙台は東京とテンションを変えずに来られるから、すごくいい

短時間でぎゅぎゅっとつまったお話を聞かせていただきましたが、ここで、仙台の印象についてもおうかがいしました。イベント中、ステージでは、仙台はやっぱりおいしいものがたくさんある!というお話をされていましたが。

「そうですね。あとはあまり東京とテンションを変えずに来られるから、すごくいいんですよね。大阪はテンションがドーンと変わるし、流れているエネルギーの感じもちょっと違うし、北海道もやっぱり観光!自然!とかいろいろ東京とは違う。でも仙台は緑も多いし、食べ物もおいしいのに、東京から1時間半くらいしか離れていなくて、お店もそんなに変わらない。仙台の人が東京に出たい!と言っているのは聞いたことがないです。
イベントで仙台に来ると、あわせて観光しています。前回は青葉祭りにかこつけて来ました。全牛タン屋を制覇してやると思っていますし、他にも気になるところがたくさんあります」

 

ぜひ、牛タン屋さん、全制覇して、好きなお店ランキングをおしえてほしいなと思います。
最後にmachico読者の方にメッセージをお願いします。

「1度の人生、お互い好きに生きましょうやって書いておいてください。必ず”や”までつけて。”いきましょう”だとちょっとアレなんで。”いきましょうや”って。それくらいのテンションで」

 

インタビュー時間約20分、とは思えないほど、濃縮されたお話を聞くことができました。
これから内容をゆっくり咀嚼して、毎日に照らしつつ、よりよく生きるためのヒントにしていきたいと思いました。幸せに生きるぞ。
ジェーン・スーさん、ありがとうございました!

 

■ジェーン・スー生活は踊る https://www.tbsradio.jp/so/
■『これでもいいのだ』中央公論新社 https://www.chuko.co.jp/special/janesu/


machico編集部そね丸がお話しうかがいました。

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