建設業界の“今”がわかる動画も視聴し、座談会スタート!


「地域の守り手」と呼ばれる建設業の人に話を聞き、その役割や現状について知る本特集企画。第2回は、宮城県のホームページで公開中の建設業界紹介動画「進め!建設の道!BUILD UP ジブン」「未来建人(ミライタツジン)」にも登場する、クレア工業株式会社の川畑貴子さん、株式会社松居組の伊藤隼さん、株式会社三浦組の門間壮琉さんを招き、高校生の子どもを持つ親世代2名とともに、建設現場の働き方について伺いました!





建設業界の“今”がわかる動画も視聴し、座談会スタート!
machico編集部 初めに、皆さんの職種と、その仕事を選んだきっかけを教えてください。
川畑さん 私は左官の仕事をして16年目になります。もともと大工を目指して工業高校に入ったのですが、授業で左官職人の仕事を見たとき、技術力の高さにすごく感動したんです。当時は就職難で大工の採用が少なかったこともあり、左官の仕事を選びました。

伊藤さん 建設現場で足場の設置・解体などを行う鳶(とび)職をしています。12年目です。実は、この仕事を選んだことに明確なきっかけはなくて…。高校も普通科でしたし、卒業したら就職して自由に遊びたいと思っていました。ただ、親が建設業だったので身近な業界ではありましたね。スポーツをしていたので、体を動かす仕事に惹かれた部分もあります。

門間さん 自分は水道工事の施工管理の仕事をしています。お二人と同じく、高校卒業後に就職して5年目です。施工管理を目指していたわけではありませんが、兄2人が工業高校だったので、同じように進学して、インターンシップで今の会社にお世話になり入社を決めました。
大久さん 就職において、やはり現場を見ることは大事でしたか。
門間さん 会社の空気感や社員の雰囲気を知ることはすごく大事だと思います。実際に今、自分にとって働きやすい職場だと感じています。

machico編集部 どのようなところに、仕事のやりがいや喜び、楽しさを感じますか。
門間さん 住民の方から「ありがとう」を言われたときですね。伊藤さんと同じく、自分もスポーツをしていたので、体を動かすのが好きで、自分に合った仕事だと感じます。
伊藤さん 仕事をしていると、「気を付けてくださいね」とか「がんばってください」と声をかけていただくことも多いんです。自分もそれがうれしいですし、携わった建物が地図に残ったりテレビに映ったりすると、喜びを感じます。
川畑さん 私も、手掛けた建築物がテレビで紹介されたときや、通りかかって目に入ったときは、頑張って良かったなと思います。何十年も残る建物に関われるというのは、大きなやりがいですね。
machico編集部 以前は、建設業界と言うと「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージが強かったと思いますが、時代の流れとともに現場環境は変わってきているそうですね。
川畑さん 私が入社したてのころは、トイレも男女共用でしたが、今は男女別になっている現場が多いですし、女性専用の更衣室や休憩所があるところも増えています。もちろん、男性が圧倒的に多い職場だと知って就職したので、トイレの共用も覚悟の上でしたが、やはり女性用があると安心します。

伊藤さん 以前に比べると、女性の職人は増えましたよね。その変化は現場で実感しています。働き方で言うと、週休2日になってプライベートの時間が増えました。
大久さん 人間関係の部分で、時代の変化は感じますか。
伊藤さん みんな優しくなりました(笑)。怖くて話しかけられないような人は、現場にはほとんどいません。一見気難しそうな人も笑顔で話してくれます。声を掛けやすい人ばかりですし、明るい雰囲気ですよ。
門間さん 自分は5年目なので昔の様子はわかりませんが、業界に入る前までは怖い人が多くてピリピリした現場だと思っていました。でも、インターンのとき、高校生に対しても仕事の手を止めて説明してくれる人が多く、凝り固まっていたイメージが変わりました。環境の変化で言うと、最近はいい空調服があるので、夏場の働きやすさにもつながっています。
川畑さん あの服は画期的です!
伊藤さん 今はもう、なくてはならない存在です。作業効率が大きく変わりますから。

machico編集部 現場で何より大切なことは安全ですよね。危険を伴う現場もあると思いますが、どう対応していますか。
伊藤さん 自分も経験を重ねて、今では後輩の命を守る立場になりました。安全性に関しては、「万が一」のことがあっても大丈夫なように、さまざまな危険性を想定して対応を考えています。例えば、高所作業なので安全帯は必須ですし、物が落ちて他の人をケガさせることのないように、落としても人に当たらない工夫もしています。危険を伴う仕事だからこそ、安全面は細部まで気を使っていますよ。
machico編集部 一般的にイメージされるような「ただ危険」な現場ではなく、万が一のために安全策がしっかりと練られているのですね。
machico編集部 働く本人はもちろんですが、親としても、建設業界の給与については気になるところですよね。
松田さん 危険な現場もありますし、昼夜・天候問わずの仕事ですから、自分の子どもが就職するとなったら、労力に見合った待遇なのか心配になります。

machico編集部 福利厚生を含めて、待遇は充実していますか。
川畑さん はい。安定した給与をいただいています。
伊藤さん うちも給与はいいと思いますし、寮など福利厚生もしっかりしています。
門間さん 同じく、寮があったり社員が利用できる保養所もあったりと充実しています。休日出勤には手当が出ますし、特定の資格を取ると給与も上がるので、モチベーションにつながりますね。

machico編集部 川畑さんはお子さんがいらっしゃいますが、育児休暇や子育て中の勤務形態なども問題ありませんか。
川畑さん 産休・育休はもちろんしっかり取れますし、17時に終わって18時には自宅にいられることも多いですね。時には会社と相談しながら、問題なく仕事と子育ての両立ができています。

machico編集部 大久さんと松田さんから、お聞きしたいことはありますか。
大久さん 10年以上のキャリアを持つお二人は、何年目くらいで一人前になれたと感じましたか。
川畑さん 先輩方の技術を見ていると、自分はまだまだ。16年目ですが、一人前にはなれたという感覚はありませんし、一生、一人前を目指していくと思います。
伊藤さん 同じですね。現場にはすごい技術を持つ、目標となる人たちがたくさんいるので、まずはそこに追いつきたいですね。

松田さん 天候にも左右される仕事ですよね。納期は決まっていると思うので、調整の難しさなどもありますか。
伊藤さん コンクリートを扱う仕事の場合は、品質に関わるので雨で中止することもありますが、鳶職は雨具を着て仕事をしています。
門間さん 水道工事も同じです。能登半島地震では被災地で復旧工事を行いましたが、雪が降る中の作業でした。大変なこともありますが、社会の役に立てるのでやりがいも大きいですね。

machico編集部 大久さんと松田さんは、今回、現場で働く職人の皆さんの話を聞いて、新たな発見などはありましたか。
大久さん お話を聞くまでは、いまだに建設業=男性社会というバイアスがかかっていましたが、川畑さんのように女性もどんどん進出していると知って、改めて時代に合わせた変化を感じました。
松田さん 私も、これまであまり知らない業界で、現場の環境に対する先入観もありましたが、それをいい意味で覆していただきました。とはいえ危険を伴う仕事には違いないと思いますので、感謝の気持ちでいっぱいですし、体に気を付けてほしいという思いです。



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