せんだいタウン情報 マチコ

2022年10月05日
子どもたちに“ウィッグ”というエールを。machico編集部の「ヘアドネーション」体験レポート

ヘアドネーションレポート

ヘアドネーションレポート

「ヘアドネーション」という言葉を聞いたことはありますか?

ヘアドネーションとは、がんや白血病、脱毛症などの病気や不慮の事故など、さまざまな要因で髪の毛を失った子どもたちの医療用ウィッグを制作するために、「髪の毛を寄付する」活動のこと。作られたウィッグは、無償で子どもたちに贈られています。
元はアメリカで始まった活動で、日本でも複数の団体が推進しています。そのひとつが、仙台を拠点とする「NPO法人HERO」です。

実は、machico編集部・ちゃそは、ヘアドネーションをするために約3年かけて髪を伸ばし、8月下旬に念願のドネーションカットをしてきました。

今回は、NPO法人HEROへのインタビューと、編集部ちゃその体験レポートで「ヘアドネーション」の取り組みをご紹介。
この記事が、誰かの新しい一歩に繋がることを願っています。

 

仙台から全国へ。ヘアドネーションって何?

 machico編集部(以下、machico)  はじめに、ヘアドネーションプロジェクトを始めるきっかけを教えてください。

 NPO法人HERO(以下、HERO) 私たちの活動は、オリジナルヒーローの訪問・公演活動がベースにあります。それが、東日本大震災がきっかけで始まった「リュウプロジェクト」です。
オリジナルヒーロー「破牙神(ばきしん)ライザー龍」を製作し、避難所や幼稚園、保育園の無償訪問や、観覧無料のショーの開催で、たくさんの子どもたちと出会ってきました。

しかし、プロジェクト開始から数年経った頃、中心メンバーのひとりにがんが見つかりました。
病院では、治療で髪の毛が抜けること、ウィッグを作れることを説明されたそうで、私たちもあらためて「病気で髪の毛が抜ける」現実を知り、情報を集める中で「ヘアドネーション」にたどり着きました。

「リュウプロジェクト」では年に数回、東北大学病院小児腫瘍センターに訪問していたので、医師の方にヘアドネーションについて聞いてみました。その時にはじめて、16,000人近くの子どもたちが小児がんと闘っている事実と、治療による脱毛に悩む子どもたちが多くいることを知ったのです。
小児腫瘍センターには18歳以下の子どもたちが入院していますが、これまで交流してきたのはおもに未就学児。一方で、髪の毛に悩んでいるのは小学生以上が多く、私たちはその悩みに直面する機会がなかったんです。
退院が近づいているのに塞ぎ込んでしまい、その後も引きこもりがちになって学校に行けなくなる子も多いそうです。「そんな子どもたちのためにできることを」と、ヘアドネーションプロジェクトを始めることを決意しました。

 machico  髪の毛が抜けると精神的なショックも大きいですよね…。人毛のウィッグとそれ以外のウィッグはどんなところが違うんですか?

 HERO  安価な人工毛のウィッグも販売されていますが、人工毛・機械植毛だとキレイすぎて逆に不自然。頭の形もそれぞれなので、フィット感もまちまち。不自然さがむしろ子どもたちの心を傷つけてしまうんです。
本来であれば、質感もサイズも自然なウィッグを付けてもらいたいのですが、人毛のオリジナルウィッグはショートでも約40万円、ロングだと約70万円ととても高価なんです…。ただでさえ治療や入院で金銭的な負担が大きい状況で、購入するのは難しいですよね。
私たちの「ヘアドネーションプロジェクト」は、髪の毛の寄付の受付だけではなく、植毛や染色などの技術的な作業を除くほとんどの作業を自ら行うことでコストを削減し、オリジナルウィッグを制作してプレゼントする取り組みなんです。

 machico  より自然なウィッグが、本当の笑顔に繋がると感じました。具体的にはどんな活動をしているんですか?
 

ヘアドネーションレポート

実際に寄付された髪の毛(51cm以上の長さのもの)
 

 HERO  まずは「髪の毛の寄付受付」です。毎日多くの髪の毛を寄付が届きますが、ウィッグ制作はそれを長さ別に分類するところから始まります。

もう一つの大きな活動は、「ウィッグの採寸・型取り」。私たちは、希望者一人ひとりを訪問して型取りをしています。
ウィッグを希望する子どもたちは全国にいるので、時間と費用の兼ね合いを見ながら駆け回っています。
中には、部屋から出られない子もいるので、希望している子どもを取りこぼさないためにも“個別”にはこだわっていますね。個別対応を行っている団体は現在NPO法人HEROのみなんです。
髪の毛は、一定量溜まったら海外の工場へ送り、そこで矯正や染色などの加工を施します。その上で、型から作ったオーダーメイドの土台に一本一本手作業で植毛し、人毛ウィッグができあがります。

 machico  個別対応だからこその安心感もありますね。

 HERO  そうですね。でも、植毛が終わった時点では、まだ完成とは言えません。子どもたちの希望する髪型にウィッグをカットしてようやく完成なんです。
ウィッグのカットをしてくださる理美容室も、ボランティアで協力いただいています。募金を含めてたくさんの方の力が集まって、やっとウィッグをプレゼントすることができます。

 machico  髪の毛の寄付に目がいきがちですが、たくさんの人が関わっていることを忘れてはいけませんね。ちなみに、寄付する髪の毛の制限はありますか?

 HERO  基準は団体によって異なりますが、HEROで受け付けているのは「31㎝以上」のみ。これは、より自然に着けられる「フルウィッグ」を作るためです。
1台のフルウィッグ制作に必要な髪の毛の量は約30人分。事務所には毎日70人以上の髪の毛が届き、その多くは31㎝~35㎝ほどの長さです。
ですが、髪の毛は折りたたんで植毛するため、31㎝の髪の毛を使ってもウィッグの長さは15㎝ほどにしかならないんです。ボブやロングのウィッグを作るためには40㎝~50㎝、それ以上の長さが必要ですが、その長さは集まりにくいのが現状です。

そんな課題がある反面、小さなお子さまや男性から髪の毛を寄付いただくことも少なくありません。「髪の毛は伸ばせないけれど…」と募金してくださる方もいます。
ヘアドネーションは、髪が長い人はもちろん、すべての人が参加できるボランティア活動なんです。

 

実際に「ヘアドネーション」してみた

寄付できる髪の毛の条件は、「31㎝以上であること」「極度に傷んでいないこと(軽く引っ張ってちぎれるような傷み)」のみ。カラーやパーマをしていても、白髪や癖毛でもOK。
編集部ちゃそは、生まれつき癖毛で、少し若白髪がありますが、必要条件は満たしているので、いざヘアドネーションへ。

NPO法人HEROでは、寄付用の髪の毛のカットや、ウィッグのカットに賛同・協力してくれる「賛同理美容室」が全国に登録されており、中には、寄付用の髪の毛の郵送まで行ってくれる理美容室も。
今回は、賛同理美容室の中から、仙台市青葉区にある「hair&spa Lucotte」でドネーションカットをしていただきました。NPO法人HEROの取り組みが始まる前からヘアドネーションに賛同しており、カット~郵送までの対応や、ウィッグカットのボランティアもしています。今では、週に2、3人はヘアドネーションのカットを希望するお客様が来店されるそう。
賛同理美容室ではなくても対応してくれる場合もあります。「行きつけの美容室で切りたい!」という場合は、まずは相談してみましょう。
 

ヘアドネーションレポート
 

カット前の長さはこちら。整えながら胸下までのロングヘア―に伸ばしました。
ドキドキでしたが、丁寧なカウンセリングからスタート!カット後のスタイルのイメージを伝えながら、どれくらいカットするかを決めていきます。
 

ヘアドネーションレポート

ヘアドネーションレポート


スタイルがある程度決まったら、寄付用に髪の毛を束ねて長さを測ります。問題なく31㎝以上の長さがあれば、束ごとにカット!
 

ヘアドネーションレポート
 

頑張って伸ばしていたのですが、ちょうど約31㎝…!思った以上にギリギリでした…。
スタッフさんによると、ヘアドネーションのために髪の毛を伸ばす場合は、日頃のヘアケアはもちろんのこと、「できるだけ切らない」のが少しでも早く伸ばすポイントとのこと。
 

ヘアドネーションレポート
 

カットした髪は、写真のようにゴムで束ねた&乾いた状態でNPO法人HERO宛に郵送されます。
郵送対応していない理美容室の場合は、この状態で髪の毛を預かって、自分で郵送手配をすることになります。

ヘアドネーションのためのカットはここまで。この後は、普段受けているサービスと同じようにシャンプーやカットをしてもらいます。
 

ヘアドネーションレポート

ヘアドネーションレポート
 

ドネーションカット後のニューヘアはこちら。約8年ぶりのすっきりショートカットになりました。今度はもっと長い髪の毛を寄付できるよう、また地道に伸ばそうと思っています。
 

ヘアドネーションレポート

ヘアドネーションレポート
 

今回カットをお願いしたLucotteさんには、ヘッドスパ用の個室やキッズルーム、おむつ交換台付きのお手洗いなど、小さなお子さまがいる方や忙しい方にうれしい設備・サービスがたくさん。あたたかくステキなサービスで、はじめての来店でも安心してお任せすることができました!ご協力ありがとうございました。
 

***


現在も90人を超える子どもたちがオーダーメイドのウィッグを待っています。 そして、髪の毛を寄付するだけではウィッグが完成しないのが現実です。
ヘアドネーションプロジェクトを推進しているNPO法人HEROへは、大きく分けて3種類の方法で支援をすることができます。
気になった方は、自分なりの方法でプロジェクトに参加してみてはいかがでしょうか?
 

① 髪の毛を寄付する

今回ちゃそがレポートしたように、髪の毛を寄付するのが一般的なヘアドネーション。31㎝以上の髪の毛であれば寄付できますが、40㎝・50㎝以上の髪の毛が常に不足している状況です。

詳しくはこちら
 

② 募金する

NPO法人HEROのオンラインストアにて、一口550円から寄付金を送ることができます。髪は伸ばせないけれど、何か力になりたい。そんな方はぜひ募金という形で支援をしてみてはいかがでしょうか?

詳しくはこちら
 

③ 破牙神ライザー龍を応援する

NPO法人HEROの活動の一つである「破牙神ライザー龍」のヒーローショーやオンラインショップでは、オリジナルグッズの販売も行っています。グッズの売り上げは、ヘアドネーションプロジェクトの活動資金にもなります。本格ヒーローショーは必見です!

詳しくはこちら

ヘアドネーションという取り組みを知っていた?そのほか、経験したことがあるボランティアを教えて!

コメントを投稿してくれた方の中から抽選で、マチコイン100枚を5名様にプレゼント!

【応募締切】2022年11月5日(土)
【当選発表】メール送信をもって発表とかえさせていただきます。

GO TOP