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2019年06月24日
塩釜・石巻で撮影、白石和彌監督の映画『凪待ち』完成報告試写会に、香取慎吾さんがサプライズ登場!

石巻を舞台に、堕ちるところまでおちぶれ、絶望する男の再生を描いた映画『凪待ち』(6/28〈金〉公開)。その完成報告試写会が、撮影のスタート地である塩釜水産仲卸市場で6/13(木)に行われました。

『凪待ち』は、白石和彌監督の最新作。
白石監督といえば、『凶悪』で第37回日本アカデミー賞優秀作品賞・脚本賞ほか各映画賞を総なめし、『孤狼の血』や『彼女が名前を知らない鳥たち』など多数の話題作を次々に生み出している、今最も勢いのある映画監督の一人です。

バイオレンスな作品を多く手掛ける白石監督と、トップアイドル香取慎吾さんがタッグを組んだことで、どんな化学反応が起こったのか。
白石監督、香取慎吾さんからいろいろなお話を聞くことができました。

会場に集まったのは、塩釜水産仲卸市場での撮影に協力された地元のみなさん。
市場の一角に大きなスクリーンが立てられ、映画館での試写会とはひと味もふた味も違う独特の雰囲気の中、報告試写会がスタートしました。

 

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はじめに白石監督が登場。
「ちょうど1年前に撮影をスタートしたこの場所に帰ってくることができました。本当に元気な市場ですね。ここに来ると撮影中のエピソードをいろいろ思い出します」
そして
「きょう僕が塩釜に行くと言ったら、どうしてもついていきたいという人がいて・・・いっしょに来ました」と、香取慎吾さんがサプライズ登場!会場が一気にどよめき色めきました!

 

 

「仕事のスケジュールで決まっていたのはなく、どうしても僕が来たくて来ました」と香取さん。
「1年前にここで撮影をさせていただいて、とてもいい映画になったと思います。いち早くみなさんに見てもらえることをとってもうれしく思います。
この市場が僕の役、木野本郁男をつくってくれた最初の場所。映画の最初のシーンの撮影は、はじめて役に入るため難しいのですが、この市場の雰囲気にひっぱってもらって、みなさんが空気をつくってくれたおかげで、すんなり撮影を始めることができました」


塩釜水産仲卸市場での撮影時メイキング ©2018「凪待ち」FILM PARTNERS 

 

白石監督からも「香取さんがいたからこの作品が撮れました。僕の映画の中ではいちばんやさしい映画です。とてもいい作品になったので、今日見ていただけることがうれしいです」との言葉が。

 

その後白石監督と香取慎吾さんへ、塩釜水産仲卸市場から豪華なプレゼントが!
鯛やアワビなどの豪華な海産物がとにかく盛りだくさんで、箱が重くてお2人は持ち上げるのが大変だった様子。

 

続いて撮影会が行われ、香取慎吾さんも自前の自撮り棒で会場のみなさんとパチリ!大盛り上がりのうちに報告会は幕を閉じ、完成した映画の上映が行われました。

 

 

白石和彌監督、香取慎吾さんインタビュー

白石和彌監督(以下 白石) 香取慎吾さん(以下 香取

Q.今の率直な感想をおしえてください。

白石:お世話になった場所で、最初に完成報告をしたかったので、全国での完成披露のスタートにここに来ることができて、素直にうれしかったです。

香取:1年前にここで撮影をさせていただいた時、緊張感はありましたが、この地のみなさんに支えられて力をもらって、映画の中の僕の役として生きることができたので、感謝しています。そんなみなさんに最初にこうして完成を報告できてすごくうれしいです。
1年前も食べたのですが、今日もここへ来てすぐに海鮮丼を食べました。とってもおいしかったです。
今日のサプライズ登場は・・・成功でした。みなさん僕が来ることに全く気づいていなかったので。今日で確実に僕のファン層の年齢が上がったなとびっくりしています。ちょっとしたことで大爆笑してくれるおばあちゃんたちの笑い声が幸せでした。


完成報告会中、撮影に参加した方とお話しする一幕も。

 

Q.撮影中いちばん印象に残っていることは?

香取:撮影中にビニール袋いっぱいにジュースを持って来てくれたお姉さんがいたんです。「こんなにいいよいいよ!」って言ったら、すごい笑顔なんだけど涙しながら、「震災で家族も親戚もみんな死んじゃったの、撮影がんばってね!」って差し入れをくれたことが、すごく印象的でした。この映画を一生懸命がんばろうと思いました。

白石:撮影中いただいた食事はどれもおいしくて、撮影中太りました。

 

Q.撮影地はほとんど宮城県ですが、どのような思いが込められているんでしょうか?

白石:東日本大震災が復興半ばで、時間がたち、なかなか話題にのぼらなくなくなってきた今、映画の中に少しでも切り取れたらいいなという思いがありました。
撮影前から震災に関して地元のみなさんに少しずつお話を聞いて、復興には終わりがないんだと感じ、いろいろなことを教えていただきました。世の中は来年のオリンピックにわいたりしていますが、華やかな話題ばかりに注目するのではなく、まだ復興を続けるこの場所で、生きている人がいるということを作品に残し、この経験を次につなげていかなければと感じながら撮影しました。
また震災と映画の中で描いている事件は本質的には全く別物ではあるのですが、ふところに傷を負った人たちの心に凪が訪れますようにという思いを込めました。

香取:映画=エンターテインメントとして、東日本大震災が含まれる映画の撮影に来ることを、地元の方々はどういう思いで受け取られるのだろうと感じていたのですが、みなさんあたたかく迎えてくれました。ここで映画を撮ることがうれしいと言ってくださる方に会えたので、みなさんのおかげで、すてきなエンターテインメントをつくることができたと思います。

 

Q.香取さんへ、震災直後も被災地を訪れ、去年また撮影で宮城を訪れて、復興に関して感じたことはありますか?

香取:映画の中でも今の石巻が映されていますが、傷はまだ癒えていないことを感じました。道は整備され、防波堤も大きく立ち、復興が進んでいる反面、まだ工事が続いているところにもたくさん行き会い、工事現場の方々に「もうここは何年もずっと工事をしているんだよ」と直接話を聞きました。
東京にいると震災のニュースを見ることも減ってきていますが、実際にこの地を訪れ話を聞くと、復興はまだまだ続いているのだなと感じます。写真を見せながら震災当時のことを話してくれるおじいちゃんがいると思えば、震災のことは何ひとつ話さないおばあちゃんがいたり、震災の残り方は人ぞれぞれなんだと思いました。地元のみなさんとの交流も含め、いい時間を過ごせました。

 

Q.白石監督へ、香取さんと仕事をした感想をおしえてください

白石:香取さんはトップアイドルですが、その印象と同じくらい、トップ俳優でもあることを、まざまざと見せつけられました。映画におけるあらゆることを感覚的にわかっていらっしゃる、撮影する方としてはすごく心強かったです。
この作品では香取さんの笑顔がほぼ出てこないので、その点は完成後に後悔しました。僕たち同世代は香取さんの笑顔をたくさん見てきたので、次にいい企画やチャンスがあれば、笑顔満載の香取さんを撮りたいと思います。

 

Q.どんな風に映画を楽しんでほしいですか?

白石:寝る間も惜しんで渾身の思いでつくりました。いろんなことが胸に迫ってくる映画だと思うので、存分に見ていろんな人と語り合ってほしいです。香取さんとのはじめての仕事であり、やさしさが残る映画をつくりたいという思いで撮りました。東日本大震災をはじめ、日本や世界中で悲しいニュースを見ることは多いと思います。悲しい思いをし、傷ついているすべての人の心に、凪がおとずれますように。

香取:僕は映画の中でろくでなしと言われている役なんですが、生き方の方向が定まらない時もあれば、光がなかなか見えづらい時も、生きていれば誰しもあると思うんです。そんな中でどうやって光をめざして、生きていくのか。そんな何かを感じ取ってもらえたらうれしいです。
撮影に協力してくださったみなさんに感謝しています。今の石巻・宮城を全国のみなさんに見てもらえる作品になりました。地元のみなさんはすごくあったかかったです。つらいシーンも多い映画ですが、撮影期間中に会う町の人たちのあたたかい言葉に支えられました。
自分としては、人生の新しい道を歩みはじめて1年半以上。そんな中でのはじめての自分の映画として、プレッシャーを感じる部分もありましたが、今はそういう気持ちもまったくなく、みなさんのお力をお借りして、すてきな監督の最新作、完成しました。1人でも多くの方に見ていただけたらと思っています。

 

白石和彌監督、香取慎吾さんありがとうございました!

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映画情報


 ©2018「凪待ち」FILM PARTNERS 

凪待ち

6月28日全国公開

映画史上最も切ない暴力
愛という名に隠された事件の真相とは―

 

INTRUDUCTION


 ©2018「凪待ち」FILM PARTNERS 

バイオレンスと狂気、怒りと裏切り、不条理かつ悲劇的。映画史上最も切ない暴力を描く、愚か者たちの衝撃のヒューマンサスペンス。
狂気の中でさえ、一粒の純粋さを失わない男の姿に、あなたは圧倒され打ちのめされる―
『孤狼の血』『凶悪』の白石和彌監督最新作。『クライマーズ・ハイ』『ふしぎな岬の物語』の加藤正人脚本。『クソ野郎と美しき世界』『人類資金』の香取慎吾主演、『くちびるに歌を』『散歩する侵略者』の垣松祐里、『友罪』『生きてるだけで、愛。』の西田尚美、『龍三と七人の子分たち』『麻雀放浪記2020』の吉澤健、『孤狼の血』『七つの会議』の音尾琢真、『万引き家族』『そして父になる』のリリー・フランキー。
容赦ない絶望、魂を破壊する衝撃作!

 

STORY


 ©2018「凪待ち」FILM PARTNERS 

毎日をふらふらと無為に過ごしていた木野本郁男(香取慎吾)は、恋人・亜弓(西田尚美)とその娘・美波(恒松祐里)と共に彼女の故郷・石巻で再出発しようとする。
少しずつ平穏を取り戻しつつあるかのように見えた暮らしだったが、小さな綻びが積み重なり、やがて取り返しのつかないことが起きてしまう―。
ある夜、亜弓から激しく罵られた郁男は、亜弓を車から降ろしてしまう。そのあと、亜弓は何者かに殺害された。
恋人を殺された挙句、同僚からも疑われる郁男。次々と襲い掛かる絶望的な状況から、郁男は次第に自暴自棄になっていく―。

 

■公式サイトはこちら

■予告動画

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