最近、さまざまな場所で聞かれるようになったキーワード「ゼロカーボン(脱炭素)」。地球温暖化が進み、私たちの生活にも大きな影響を与え始めている今、2050年のゼロカーボン社会実現を目指して日本を含む世界各国があらゆる取り組みを行っていることをご存知ですか?
私たちが暮らす宮城県でも様々な地球温暖化対策が行われています。その一環として、20~30年後の社会を担う大学生たち「COLORweb学生編集部」が宮城県内のゼロカーボン先進企業を訪問し、現場を体験取材する記事を連載でお届けしています。
今回取材におじゃましたのは、仙台市青葉区にある「第一生命保険株式会社 仙台総合支社」。目には見えない「保険」を商品として扱う企業が、どのようにゼロカーボンに取り組んでいるのでしょうか。そこには、私たちの日常生活の中でもすぐに実践できるヒントがたくさんありました。
今と未来の架け橋として「生命保険事業」を展開する同社は、将来の世代に向けて持続可能な社会を守ることが企業としての重要な役割であると考え、「環境基本方針」のもとあらゆる環境負荷低減に向けた取り組みを行っています。
2019年には国内生命保険会社として初めてRE100(※)に加盟し、事業活動で消費する電力の100%再生可能エネルギー化に向けた取り組みを強化。CO2排出量の削減を目指し、具体的な数値目標を掲げて活動を推進しています。
※企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す国際的なイニシアティブ
こうした方針のもと、仙台総合支社でも独自の活動が行われています。
同社は2020年から、お客様や地域から提供いただいた食料品を「NPO法人ふうどばんく東北AGAIN」へ届ける活動を展開しています。同法人は、2008年に設立された東北で一番歴史あるフードバンク。新型コロナウイルスの影響で食料の支援要請件数が急増したことを受け、仙台総合支社も支援活動に参加するようになりました。
個人だけでなく、法人・団体のお客様も多い同社は、幅広いネットワーク力をいかして備蓄品や余った食料品を回収し、毎週欠かさず同法人へ提供しています。
2021年度は2,293kg(支援世帯数229世帯)の支援につながりました。
食料品を回収するフードボックス
さらに、10年以上前から「エコキャップ回収活動」も継続。ペットボトルのフタを回収し、「特定非営利活動法人 キャップの貯金箱推進ネットワーク」へ寄贈することで、①リサイクル推進 ②分別作業を通じた障がい者の自立支援 ③世界中の子どもたちにポリオ(小児麻痺)ワクチンを届ける、という3つの活動につながっています。2021年度は875kgのフタを回収し、435人分のワクチンが届けられました。
自然発生的に社内で始まったこの取り組みに、お客様や地域の小学校など賛同いただく場所も少しずつ増えていったそうです。営業スタッフが定期的に訪問し、ボックスの中身を回収して本部に集約しています。
各所に設置している回収ボックスは、ついキャップを入れたくなる素敵なデザイン。大学内に設置されている回収ボックスとの違いに、「こんなに素敵でわかりやすいボックスがあったら、私たちの学校でももっとたくさん集まりそう!」と、学生取材班の2人。
「事業に直結する取り組みでなくても、自社が持つ強みやリソースをいかすことでゼロカーボン社会の実現に貢献できるんですね!」と納得の表情を浮かべていました。
東日本大震災の津波で失われた仙台東部地域一体のみどりを市民の「ふるさとの杜」と捉え、再生に取り組んでいく「ふるさとの杜再生プロジェクト(仙台市主催)」にも多くの社員が参加。「植樹会」と「育樹会」に分かれている活動のうち、同社は「育樹会」に参加しています。育樹とは、植樹後の苗木がしっかりと育つように雑草を除草して環境を整えること。これまでに約200名の社員が参加し、「今は小さな木ですが、今後、津波から守ってくれる大きな木になると思うと胸が熱くなりました」「刈った草が乾燥を防ぐ役割をするということが学びになりました」など、地域の環境保全にもやりがいを感じながら活動されています。
また、紙資源を無駄にしない取り組みとして、社内では裏紙の再利用を徹底。お客様にも、希望に合わせて紙の通知書からweb上で情報を確認できる「web通知サービス」を案内し、Web通知が1通発信されるごとに財源を積み上げ「宮城みどりの基金」へ寄付する施策をスタートさせました。
このように同社では、身近な活動として環境保全活動が積極的に行われています。ここまで多くの社員が自主的に取り組むことができるのは、一体なぜなのでしょうか。
紹介した各活動に実際に参加している同社営業スタッフの漆戸さんと森さんから、社内に取り組みが浸透している理由と学生に向けたアドバイスをいただきました。
—私たちが入社した時にはすでに社内でいろいろな活動が行われていたので、“当たり前の活動”として取り組めているのが大きな理由にあると思います。そんな風に先輩方が代々受け継いできた活動は、これからの未来を生きる私たちや子どもたちのためにあるものだと感じているので、自分ごととして受け止めて参加することができています。
こうした活動は、“とにかくやってみること”が一番です。学校の授業やニュースで得た情報や知識を自分の問題として捉えるには時間がかかりますが、まずは行動してみて、そこから自分が必要だと思ったことやできることを続けていけばいいと思います。私たちもそんな風にして、活動の意義ややりがいを見つけてきました。
しかし、活動したいという想いの強さや実際に参加できる度合いは人によって違います。そこもお互いに理解し合えたら、それぞれが負荷なく活動を続けられますよね。私たちの会社にはそんな風土があるので、とても取り組みやすいです。
小さなことからやってみる・続けてみることが大切!一緒に未来のために頑張りましょう!
環境への負荷を減らす取り組みを推進するには、“自分ができることを、悩まずやってみる”ことが大切だと学びました。そんな感覚がたくさんの人に広がっていけば、ゼロカーボン社会の実現も可能になるのだと思います。日頃の生活やCOLORweb学生編集部の活動を通して、私たちも実践と発信を行っていこうと感じました。
記事を読んで自分もやってみたいと思った取り組みについて教えてください。感想もお待ちしています。