荒浜から2012年に移転した浜寿し。震災後7年をかけて先代の味に近づいたという旨みたっぷりの煮汁で炊き上げられた無農薬栽培のササニシキの上には、肉厚でプリプリの色あざやかなほっき貝がきれいに並んでいます。ほっき貝の甘みと食感を楽しめる浜寿しの絶品ほっきめしを編集部が実食!グルメレポートをお届けします。
親方の大きな手と比べてわかるように、ほっき貝は丸々としてとても大きく、貝の中にはぎっしりと身が詰まっています。この大きなほっき貝が3個も使われているほっきめし(写真上)は1人前1,800円。ほっき貝の旬は、12月から4月位まで。4月の産卵期までより身がしかっりと肉厚になるそう。
北海道から福島の北の太平洋側で獲れるほっき貝。震災後、漁師さんの減少と未だ残る瓦礫の影響で、荒浜での漁獲量は減ってしまったものの、地物の名物料理である人気のほっきめしは、県内外から訪れるたくさんの人の舌を虜にしています。
貝から取り出された大量の身は、ひとつひとつ手作業で洗われていきます。このまま握りで食べても美味しいほっき貝は、煮汁で熱されるとぷりっと弾力のある食感に変化。そして食欲そそる鮮やかな紅色へと姿を変えます。先代のお父様が創業からほっき貝を煮込み、継ぎ足し継ぎ足し育てた煮汁は震災で失われました。しかし、2012年のお店の再開から7年、年を重ねるごとに煮汁は凝縮して旨味を増し先代の味に近づいてきたそうです。その煮汁でじっくり煮込まれたほっき貝は、なんとも優しい甘み。貝の甘みと食感を楽しめるのがほっきめしの魅力です。
そして、煮汁を使って炊かれるお米は、無農薬栽培のササニシキ。美味しい炊きたてのごはんを提供したいと1度に炊くお米は12人前。ほっきめしの味を変えないように、創業から変わらず使っているのは地元の老舗のお醤油。材料にも炊き方にも実直なこだわりがありました。
店内は木のぬくもりと香りを感じる心地よい空間。カウンター、テーブル席の他、個室も完備。
震災後、2012年に移転したお店は荒浜の海からは遠くなったものの、荒浜の市場に通ってできるだけ地場の食材を使うようにしているそうです。3月~4月、荒浜ではかき揚げや天ぷらで食べるとおいしい白魚も旬をむかえます。秋ははらこめしが人気の浜寿し。一年中楽しめる地元の味を提供し続けています。