せんだいタウン情報 マチコ

2016年12月14日
TALK Vol.3 丸山ゴンザレスさん 後編
-各界で活躍されている方にインタビュー。すてきに生きるヒミツを探ります。
TALK Vol.3 丸山ゴンザレス ジャーナリスト/編集者 後編・旅「旅好きは子どもの頃から。混沌とした場所へ行きたくて、仙台を飛び出した。」

 

 TBSテレビ『クレイジージャーニー』への出演で人気の丸山ゴンザレスさん。前編では、ジャーナリストというお仕事についてや、今の仕事スタイルに行きつくまでの経緯などをおしえていただきましたが、今回はおまちかね旅のスペシャリストゴンザレスさんに聞く旅行にまつわるお話しです。

 

 

父親に連れられ東北をめぐった幼少期。10代後半は、青春18きっぷで九州まで。

 1977年生まれ、現在39歳のゴンザレスさんですが、デビュー作である『アジア罰当たり旅行』(今年改訂版が出版)によれば、20代前半から、かなり危険な旅行をされていたことがわかります。傍目から見るといささか行き過ぎた旅好きの性質は、そもそもどのようにして培われてきたのでしょうか。

「旅自体は子どもの頃から好きでした。おやじにつれていかれて、週末に泊りがけで出かけることが多かったですね。東北の秘湯をめぐったり山登りとか釣りに行ったり、山に入って、そこで取れた山菜を食べながらキャンプするとか。今にして思えば貴重な体験をさせてもらったことはわかるのですが、正直小学生だった自分には、何がおもしろいのかよくわかりませんでした。
 本格的に自分で旅をするようになったのは、高校1年生の春休み。青春18きっぷを使って19歳くらいまではずっと国内を旅していました。とにかく西の方西の方へと向かっていましたね。あったかくなっていった方がいいかなと思って。
 それで20歳になってから、本格的にバックパッカーとして海外を旅するようになりました。進学で上京していたのですが、まわりに海外へ行く人たちがいっぱいいたので、自分も行きたいなと思って。19歳までに、国内旅行で九州のはじっこまでたどり着いたので、じゃあ海外に行こうと思って。
 20歳のときにはじめての海外でタイの首都バンコクに行ったのですが、そこでいろんな旅人に出会い、旅自体がおもしろいなと思うようになって、どんどんはまっていきました」

 お父様の英才教育!が今のゴンザレスさんの基礎を築いていたんですね。大学、大学院では考古学を専攻していたということで、そういった興味から海外へと足が向いたのかと思いきや、初海外にタイを選んだのは、ムエタイの修業がしたかったからなのだとか。格闘技はずっとやられていたそうで、あのガタイのよさにも納得がいきました。

 

 

予定を決める旅、決めない旅。旅の仕方で、いろんな自分が見えてくる。

 さて、旅慣れたゴンザレスさんにお聞きしたかったのが、海外旅行ビギナーにおすすめ旅行先なのですが

「おすすめの旅先は、無事に帰って来られるところがいいと思いますね、基本的には。
 あとはルートや行程を決めない旅か、かっちり決めて予定通りまわるか、どっちをとるかだと思います。
 何も決めずに旅をした時って、自分は何が好きで何が嫌いかというのがよくわかるんですよ。自分が行きたいと思えば調べるし、調べてまで行きたくないなって思ったら何もしないし。すべてを決めるのは自分ですから。
 自分のプランニング能力をはかる意味では、きっちり計画を立てる旅というのもいいですね。自分は計画通りちゃんと行動ができるのか、不測の事態が起きた時に自分は意外とパニくるんだなとか、そういうことが見えてくるので」

 

 

 それにしても旅の目的地ではなく、旅の仕方のアドバイスをしていただけるとは、やはり旅の達人、目の付け所が違います。
 ゴンザレスさんの最近の旅事情はというと、ハワイに行かれたという話しも耳にしたのですが、それもいわゆるビーチリゾートでのんびり旅というわけではないようで・・・

「ハワイにははじめて行きました。以前はあまり興味がなかったんですが、ハワイにも闇の部分があるとわかったので。ハワイは全米でホームレスの数が人口比率で見ると一番高い都市になるんです。そこに州知事が非常事態宣言を出したので、気になってしまったので行きました」

 

 ふだんハワイを憧れの場所として見ている編集部にとっては、衝撃的な視点でした・・・。ハワイの闇に切り込んだ記事を見られる日も近いかもしれません。

 海外の質問をもうひとつ。取材中、現地のキケンそうな食べ物もひるまずに食べるゴンザレスさん。食べることが大好き特にお肉好きという印象があるのですが、これは食べに行った方がいいという世界のお肉料理とは?

「僕の好みで言うと、ジャマイカのジャークチキンが好きですね。チキンをまるまる一匹焼いたもので、まるまる一匹食べるんですけど。ドラム缶を縦半分に切った鉄板を使って道端で焼いていて、値段はそんなに高くなかったです。僕は人気の屋台で買ってホテルに持ち帰って、パンの実とかといっしょに食べました」

 それは・・・おいしそうですね!ジャマイカ本場の味が気になりますが、日本でも食べられるところがないか、まず探そうと思いました。でも、ジャークチキンを食べにジャマイカまで、なんていう目的の旅も楽しそう!

 

 

 

自分に会いに来てくれる人が仙台にいるのは、不思議な感覚。

 今回東北での初のトークイベントのために来仙されたゴンザレスさん。仙台・宮城・東北にはどんな思いを抱いているのでしょうか?

「仙台は故郷なのでときどき帰ってきますが、今でもつながっている同級生とは東京や大阪で会うことが多いので、仙台で会う友だちはいないんです。進学で上京してから東京に活動拠点を置いて、ここ数年は東京にすらそんなにいないので、生まれ故郷とはいえ、定住していない仙台に来てイベントをやる時に、お客さんがいっぱい来てくれることにはちょっと驚きました。僕を知ってくれている人がこの街にいるんだって。もちろんお客さんは昔の僕ではなく、今の僕に会いに来てくれるわけですが、それでもちょっと不思議だなと思っています。
 仙台ではトークイベントがあまりないですよね。こういうライブバーも(当日のイベントはTiki-Potoで行われました)もっとあっていいと思います。イベントがあればもっと来たいです」

 

 学生のまだ何ものでもなかった時の自分と、今の自分が地続きであること。自分は変わっていないつもりでも、まわりの自分に対する見方が大きく変化していること。そのギャップが大きいほど、不思議な感覚に陥るものなのかもしれないな、とふと。

 たしかに、仙台より、海外の方がしっくりくるお方ではありますが、そんなゴンザレスさん、仙台に帰って来た時の楽しみ方や、好きな食べ物はあるんでしょうか?

「昔から牡蠣とホルモンと牛タンはすごく好きだったんですよ。あと魚系はだいたい好きなので、震災前は、実家に帰ってくるたびに閖上の市場に行っていました。週末におやじと車で出かけて食べたい食材をだーっと買ってきて、実家の庭でバーベキューすることが多かったですね。
 学生時代はフォーラスの地下にある北京餃子に、チャーハンとか餃子を食べに行っていました。あと焼肉の食べ放題がオープンした時は革命だなと思って、めちゃ食べ歩いていましたね。死ぬほど食べてました」

 

 

居心地のいい仙台は、10代の自分には居づらい場所だった。

 外から見る仙台の印象も、うかがってみたところ

「街が清潔になりましたよね。駅周辺とか、東口、長町の裏の方あたりとか、僕は仙台の戦後から続く昭和の雰囲気が残っていたところがすごく好きだったので、すっかりきれいになっちゃって、それが残念ですね。
 それは行政的にはいいことだと思いますが、住んでいる若者たちにとっては、あまりおもしろみがないんじゃないかなとはちょっと思いますね。

 仙台は品がありますよね、それに居心地もいい。クレイジーからはいちばん遠い場所なんだろうと思います。今思えばなんですが、それだけ居心地のいい清潔な街だから僕は仙台を出ちゃったんだろうなと。仙台の大学をいくつか受験したんですけど、落ちたんですよ。それで数年前まで母親が、そもそも受けに行ってないだろうという疑惑を持っていたんです。実際は試験会場には行って、全部白紙で出していたんですけど。ともかく仙台は10代のぼくにはきれい過ぎて居づらい街でした。もう少しごちゃごちゃしたところに行きたかったから」

 

 

 お母さん!見ていますか!?まさかのマチコで大学受験の真相が明らかに・・・しかし勇気ある行動ですよね。目的のために手を尽くす、ゴンザレスイズムの片りんを感じます。
 さて、最後にこの仙台・宮城・東北のみなさんにメッセージを!とお願いしたのですが・・・・「いや、ないですよそんな。メッセージなんてそんな大上段から語れるほどないです。伊集院静さんじゃあるまいし」との前置きをいただきつつ

「ぜひ仙台でも放送されている『クレイジージャーニー』を見ていただいて、仙台のいろんな書店さんに僕の本も置いてあると思うので、それもぜひチェックしていただければ。
 僕が上京した20年近く前に比べると、東北というエリアがポップでかっこいいところがあるということが全国的に伝わってきたように思います。その変化をもっと大事にしていってもいいのかなと思いますね。えらそうにすいません。
 エッセイスト・漫画家の能町みね子さんは岩手や青森をけっこう巡っていてその切り取り方がかっこよかったり、タモリさんが岩手のジャズ喫茶へ行ったり、そんな方々が好きな感覚が、東北には街ごと残っているのがいいですよね。だから単純な新しさを求めて無理やり作り替えていくよりも、自分たちの街の価値をもっと知っていくのもいいのかなと思いますね。あくまで外野的な希望です……あ、今のところ外野的な希望ってちゃんと書いておいてください。『おまえ出てったくせ』になに言ってんだよみたいなこと言われると、僕すごいへこむんで」

 

 

 自分にまっすぐに、うそのない言葉で語ってくださるゴンザレスさん。豪快さと慎重さ、まじめさと不真面目さが絶妙に混ざり合ったとても魅力的な方でした。彼の中には確固たる信念があり、答えを探しながら、思考をその場で紡ぎながら、よどみなく話してくれる。しかもいい声で。もっとお話しお聞きしたかったです。

 自分にはあわないと飛び出した故郷が、ジャーナリストになるきっかけの場所でもあったこと。暮らしてはいなくても、宮城がこれからもゴンザレスさんにとって大切な場所であることに変わりはありません。ぜひさまざまなイベントや取材でもっと帰ってきてほしいと思いました。

 

 丸山ゴンザレスさん、貴重なお時間ありがとうございました!

 

 

 

 トークイベントでは、ゴンザレスさんが取材に訪れた場所の写真をスクリーンに映しながら生解説!会場のお客様にどこの国の話が聞きたいかをその場でヒアリングしてお話ししてくれ、自他ともに認めるゴンザレスさんのコミュニケーション能力の高さを、まざまざと感じることができました。『クレイジージャーニー』裏話も聞けましたよ!ほくほく!

 

【前編・仕事】はこちらから
ジャーナリストというお仕事についてあれこれおうかがいしました!

 

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